研究概要 |
本年度は(1)実験システムの開発, (2)実験用教材の開発, (3)実験システムを用いた基礎実験の試行, を行った. 実験システムは光動画ディスク, VTRをRS232Cを介して開発し, それを用いた基礎実験を試行した. (2)の教材については技術科, 生物科学および初等物理学を3つの領域における開発を行った. 技術科領域では, 正投射方による立体図学のうち, 点の投象, 直線の投象, 立体の投象と相貫体について, CAI教材を開発した. これらの教材はコンピュータグラフィックを利用して対象体を3時限的に呈示し, それを座標変換によって最終的には立面図と平面図とからなる正投象図として呈示する. この教材については第12回CTI学会において牧野が発表した. この他, 生物科学領域では「イモリの求愛行動」という比較行動学上の知見を扱ったVTR教材と教材のキーシーンを用いてテスト問題を作成した. 初等物理学に関しては, 「浮力のはなし」という教材をマッキントッシュIIのコースウェアツールを用いて作成した. 今後の小, 中学生を対象とした研究に関する基礎資料を収集する目的で, (2)で開発した教材とテストを用いて, 大学生を対象に基礎実験を行った. アイカメラで測定しながら教材呈示とテストを行い, 教材のキーシーンに対する見方がナレーションの入り方によりどのように影響され, それがテスト成績にどう反映するかを検討した. テスト項目の中で正答率の落ち込むものがあり, 教材の分析を行った結果, 映像情報と音声情報の時間的なずれが理解を阻害していることをつきとめた. また映像教材の理解を測定するには, 従来のペーパーテスト型の測定だけでは不充分であり, キーシーンとキーナレーションを用いたテスト, すなわちAudio-Visualタイプのテストが不可欠であるとの結果が得られた.
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