研究概要 |
研究は, (1)パーソナルコンピュータを用いたConcept Map作成システムの開発, (2)地学領域におけるConcept Mapによる概念構造の測定とこれを用いた評価法の確立, (3)地学領域におけるConcept Mapを用いた学習内容の構造化を目的として行なわれた. (1)については, 用語関連テストの結果をISM法によって階層化し, 階層的有向グラフとして概念構造を表現できるようにした. このとき, 概念構造における階層性の特性から, 有向グラフ中の最も長い経路だけを残し他の経路は消去できるようにした. また, このグラフにおける各要素間の連鎖の数を親近の程度とみなして数量化IV類法を利用して作図するようにした. 本システムはインタープリタ上で動作し, 扱える要素数は最大30である. この数をより大きくするにはアルゴリズムの変更が必要であるが, 演算に要する時間の関係でインタープリタ上では現実的ではない. プログラムはPC-9801用のn88-DISK BASICで記述されているがグラフィック等を用いていないので他の機種にも簡単に移植が可能である. (2)については「岩石」に関する用語関連テストを開発し, これを利用して教員養成学部の理科専攻学生(地学専攻生は除く)と非理科専攻学生の岩石に関する概念構造を比較し, その特性や相違を明らかにした. また, 高等学校の生徒において岩石に関する授業の事前・事中・事後における概念構造の変容を明らかにし, Concept Mapがとりわけ形成的評価に有効であることを明らかにした. (3)については, 小学校「地層」の単元を, 学習内容の階層性をもとにしてConcept Mapとして表現し, これをもとに単元構成をするとともに, 教科書の内容配列の分析を行なった.
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