筆者らは、これまで映像教材に関する二次情報のデ-タベ-スを開発し大学間ネットワ-クを利用して公共サ-ビスを行なっている。このデ-タベ-スは教材の説明資料などの印刷物から二次情報を作成しているが、映像教材を利用する立場からみると、二次情報だけでなく映像そのものが提示されればより的確な検索が可能になってくる。特に本研究では取り上げた放送大学授業番組のような場合に、学習者が科目選択の判断をしたり、教材中の目的とする部分に到達するのに教材を全部視聴するのは現実的ではない。そこで映像教材の内容を要約したサマリ-を作成する必要性が生じてくる。 映像教材のサマリ-は、映画の予告編のようにその内容を要約したものである。予告編は通常、動画と音声によるものが多いが、デ-タベ-スに蓄積する場合、動画を用いると膨大な記憶容量を必要とするため静止画と音声による組合せが現実的である。本研究では-放送教育授業番組を題材にして、番組を構成している要素を分析し、映像教材サマリ-作成のための指針を得ることにした。サマリ-の作成は、映像教材の制作に携わったディレクタ-や担当講師によって行なわれるべきものであるが、諸般の事情から困難である。また、第三者が作成することも考えられるが、大量の教材(例えば数千)のサマリ-を人手によって作成することは労力の点で不可能に近い。そこで本研究では、放送大学授業番組を用いて(1)タイマ-による等間隔型と(2)映像の変わり目に着目するカット対応型でサマリ-を自動的(電子的)に作成し評価実験を試みた。カット対応型は、ビデオ信号中の輝度信号の変化を検知してシ-ンを電子的に抽出する方法であり、番組の分析からカットの変化2秒前から音声を記録し、変化3秒後の画面を記録すると、キ-画面とキ-ワ-ドを抽出することが判明し、評価の結果有用であることが確かめられた。
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