今回改定された学習指導要領は、理科においては生徒の主体的な探究活動や課題研究を通して、化学の事物・現象を化学的に探究する能力と態度の育成を図ることになっている。化学においては、観察・実験こそが学習そのものであると理解される。 中学校における実験の実施状況を、中学校教員に対し調査をし、表1の結果を得た。また、高校2年に在籍する生徒に、中学校時代に行われた実験の記憶(定着率)調査をし、表2の結果を得た。因みに、その時の事を憶えていないとした回答は、基本操作を20.21%、1年時40.4%、2年時39.9%、3年時52.1%である。表1からは、基本操作を含め1、2年時は生徒実験がよく行われている様子が伺え、2年時の実施率が最も高い。3年時は、内容的にも重要なものが多く、実験の項目数も増えるのに実験実施率は15%以上も下がり、生徒実験が少なくなる。やはり高校入試の影響とみるべきであろう。なお、表2では学年が進むにつれて実験実施率が下がり、3年時の生徒実験は、1年時の1/3以下である。表1の結果と比べて、大事な3年時の内容の定着率が極端に悪いということになる。化学の基本に関わる大事な内容をもつ3年時が特に問題ではないと思われるし、内容の理解度との関連性とも考え合わせると、化学が観察・実験を通して考え、理解する科目であるとの実証にもなる。
|