研究概要 |
都市域の危険度評価には基礎となるデータを要する. 本研究では都市域を構成する要素に基づいて危険度評価を行うことを目標にして研究を実施した. そのため第一段階として, 遠隔計測データを分類して, 都市の構成要素を抽出する方法を開発した. 高速性を重視して, 処理時間の短い二分木法を採用し, 従来の分光特性に基づく方法を拡張して, 分光特性と空間特性(空間的分散)を同時に考慮した二分木法を開発して自動処理に用いた. 対象とした遠隔計測データは空間的分解能を考慮して空中写真をディジタイズして用いた. 空間分離能は約1mのものと, 約5mのものてある. 危険度評価には二つの方向が有り得る. 一つはボトムアップともいうべきもので, 評価に必要な都市域構成要素を出発点とし, それらの情報を積み重ねて最終的な評価に至るものである. 当初は, この方法で進めていたが, すべての要素が揃わなければ評価に至らないという欠点がある. 危険度評価に必要な要素がすべて遠隔計測データから得られるとは限らないため, トップダウンともいうべきもう一つの方向を検討した. これは, 既にある評価値を遠隔計測データから得られる構成要素の面積占有率に, 回帰分析によって結び付けるものである. 評価値(東京都)は500mメッシュで得られているため, 多くの遠隔計測データを要する. 上の分解能を有する多くの遠隔計測データを入手することが困難であったため, 細密数値情報を遠隔計測データを仲介するものとして利用した. これに基づき, 危険度を表現するモデルを作成できることを確かめた. まだ, 問題は残されているが, 遠隔計測データから危険度マップを作成する一つの方向を示した. 技術的には, 分類手法(最適線形判別法, クラスタリング), 変化域抽出法, 空間分解能の評価法などを開発した.
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