研究概要 |
わが国の大都市では近年海岸に広大な埋立地が造成されてきている. 一般に埋立地は地盤条件が非常に悪く, 地震に襲われた場合, 諸施設が甚大な被害を受ける危険性を有していると考えられているが, その実体は明らかにされてきていない, そこでこの事を明らかにするため, 本年度いくつかの視点から研究を行った. 成果を要約すると次のようになる. (1)震害報告書や筆者達の経験をもとに, 過去の地震による埋立地の被害状況を調べた. また, 研究期間中に発生した千葉県東方沖地震に対しても東京湾岸の埋立地での被害状況の現地踏査を行った. これらの結果, 埋立地では特に液状化による被害が目立っていることが明らかにされた. (2)全国の埋立地に関する資料を, 文献や統計資料等から収集した. その結果, 各埋立地における土地利用状況や地盤条件, 地盤沈下状況の問題点が明らかにされた. (3)全国のうち, 代表的な埋立地として東京湾および伊勢湾の埋立地をとりあげ, 現地踏査も含む各種の調査を行った. その結果, 地盤沈下による諸施設の変状, 地層構成などが明らかにされた. (4)(3)でとりあげた埋立地に対し, 想定しておくべき地震動を地震活動調査や地域防災計画資料等をもとに調べた. (5)地盤沈下により構造物が過大な応力を受けていたところに, 地震動が加わり被害が生じた例について, 情報の収集を行った. その結果, 仙台市の水道管などでそのような被害を受けていたことが明らかにされた. (6)埋立地の液状化特性に関する研究の一つとして, まさ土を埋立材として用いた場合の施工過程中の液状化強度変化を, 室内液状化実験を行って調べた.
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