研究分担者 |
茅原 一之 明治大学, 工学部, 助教授 (80111566)
菅野 昌義 長岡技術科学大学, 機械系, 教授 (50010731)
諸岡 成治 九州大学, 工学部, 教授 (60011079)
小夫家 芳明 京都大学, 工学部, 助教授 (80026195)
江川 博明 熊本大学, 工学部, 教授 (50040358)
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研究概要 |
総量42億トンと計算される海水中の溶存ウランを工業的に採取する技術の確立は, わが国のエネルギー政策上極めて重要である. 本研究では, 経済的な海水ウラン採取プロセスの確立をめざして, 1.吸着性能のよい新しい吸着剤の開発, 2.球状, 繊維状など各種形状吸着剤の統一的な性能評価, 3.海流, 波などの自然力を利用した吸着剤と海水との接触方法, およびその装置の開発を行った. 本研究によって得られた新しい知見, 成果は次の点である. 1.アクリロニトリルージビニルベンゼン共重合体から得られる細孔構造を制御したアミドキシム樹脂はアルカリ処理なしで海水から高いウラン吸着性能を示し, 10日間のウラン吸着量は約100mg/L-Resinであった. 2.海流利用システムに適した吸着剤として, 微粉末状のアミドキシム樹脂をシリカゲルとともにポリエチレンに複合した繊維状吸着剤を合成した. この吸着剤のウラン吸着速度は, 1日吸着で100mg/kg-Resinであった. 3.中空繊維状アミドキシム樹脂を合成し, それを束にして流れに並行にして充填した圧力損失の小さい吸着装置を考案した. 海水を流通させて, 海水の速度とウラン吸着速度との関係を得て, 装置設計を行った. 4.繊維状吸着剤を容易にハンドリングできるように, 繊維をナイロンまたはポリエステルメッシュで球状または四方のマットにまとめ, 流動化が可能なようにして, 装置内の流動特性を明らかにした. 5.従来の流動層より高い線流速で運転できる高性能接触装置として,ループ方式を発展させた循環流動槽を考案した. 吸着剤粒子が装置内で堆積も流出も起こさずに流動する条件を調べた. 6.黒潮などの海流の中に粒状吸着剤の流動層を固定設置し, 流動層の海流に向かう前面のノズルより, 海水を流入させ, 後面のノズルより排出させる方式を考案した. この装置の大型化および多段化の検討を行った.
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