研究概要 |
本研究では, 生態膜タンパク質の合成高分子材料への再構成において, その配列, 配向および高次構造を制御し, 機能の発現性を高めた状態にすることを目的としている. 第一の生体素子としては, 高度好塩菌の紫膜に含まれるバクテリオロドプシンをとりあげた. このタンパク質は光を吸収して膜の内から外へプロトンを輸送する機能を有しており, 光エネルギー変換素子などとして注目を集めてきているが, その機能の有効利用のためには, タンパク質分子を一定方向へ配向させる必要がある. この目的のために本研究では電場を利用し, たとえば重合性膜素材中にバクテリオロドプシンを包括固定化する際, 膜面に垂直な方向に静電場を付与し, 膜タンパク質の向きを揃えたまま固定化しようとした. アクリルアミドモノマーを使った場合, 調整された膜は光(100Wハロゲン2本, 50cm)の照射に応答して数+nA程度の電流を発生し, その応答性は製膜時に印加した電圧により大きく変化する. また応答の連続性もかなり良かった. さらにイオン性コモノマーを混在させることにより, 応答電流は相当程度向上することがわかった. 一方プロピレングリコールを主鎖とするプレポリマーを膜素材として使用すると, 膜抵抗の高い材料が得られ, 光応答性は膜電位として観測することが出来た.
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