研究概要 |
本研究は, 1.高分子薄膜作成法, 2.高分子膜中のドーバント分子の配向制御法, 3.これらの方法で得られた高分子膜の光機能を調べること, を目的とする. 高分子薄膜作成法としては, (1)メタクリル酸メチル(MMA)の気相-固相界面光重合法, (2)結晶光重合法による配向ポリジアセチレン膜の調製法, (3)配向ポリマー膜上へのn-アルキルカルバゾールのエピタキシャル成長膜の調製法, をとりあげた. その結果次の成果を得た. (1)メタクリル酸メチルの気相-固相界面光重合法の確立:MMAの平衡蒸気圧, 数mm〜数10mmHgにおいて, 高圧水銀灯による直接光励起及び増感光励起(水銀蒸気増感剤)により数十〜数百mmの厚さの均一膜作成条件を探索し, 膜生成法を確立した. (2)結晶光重合法による配向ジアセチレン膜の調製法の確立:1, 6-di(N-carbajolyl)-2, 4-hexadiyne単結晶は148Kに相転移温度を有するが, これを結晶重合させるとき, 重合の進行にともない相転移温度は低温に移行し, 発熱量も減少することを見出した. これは結晶中にポリマーが生成するにつれて内部歪を生じるためと解釈された. またジアセチレンモノマーを表面処理した基板上に蒸着し, 結晶配向膜の作成条件を探索した. (3)n-C_<22>H_<45>carbajole(C_<22>Cz)の配向ポリマー膜上へのエピタキシャル成長膜の調製法:一軸延伸ポリエチレン配向膜上でC_<22>Czの薄膜を作成し, これがポリエチレン膜に重直に配向することを見出した. 更に直鎖状パラフィンn-C_<24>H_<50>をC_<22>Czに混入するとき, 混晶をつくることを見出した. (4)配向高分子フィルム中における励起エネルギー移動:高分子フィルム中にエネルギードナーとアクセプターを分子分散し, これを一軸配向した系についてエネルギー移動速度に対する配向効果を見積った. そして顕著な配向効果を実現するためには分子間距離を規制した分子配向系にする必要があることを明らかにした.
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