研究概要 |
水素気体中のアルカリ原子をレーザー光により或るエネルギー以上の状態に励起するとアルカリ・水素分子が非常に高い効率で生成される. 生成された分子の密度が臨界値以上になると凝縮により1μm程度の結晶微粒子が生成されるが, この粒子は天然の雪に類似した点が多く「レーザースノー」と呼ばれている. この現象はコロンビア大学で最初見い出されたが, 我々もほぼ同時期に独立して観測しており, その後我々はアルカリ分子を励起しても結晶微粒子が生成されることを見い出した. この現象は多くの人達に関心を持たれているにも拘らず, 励起状態原子, 分子の化学反応を始め, 結晶微粒子の生成, 成長過程, 生成された粒子自体の構造や形等不明な点が極めて多い. 本研究ではこのようなレーザースノー生成に関する種々の素過程やその他未知の点を総合的に研究し明らかにすることである. 本年度の研究では, レーザースノーが光電子を放出することにより, 電子電荷の10^4倍という大きな正の電荷を帯びている点に注目した研究を行ったが, その結果, 従来全く知られていなかった事実, 新しい現象を見い出すことがでた. その1つはレーザースノーの結晶形を最初に観測したことである. レーザースノーは大きく成長するに従い重力により落下してしまい, 従来得られた粒子の大きさは最大1μm程度で, その形を光学顕微鏡で観測できなかった. そこで粒子を電界により指示し大粒径の粒子を得た. その結果粒子は単結晶で, その形は温度, 光強度に依存することがわかった. また粒子の成長に対して, 光電子が一種の銛繋ち効果を越し, 結晶成長速度を大巾に増大させるという新しい現象も見い出すことができた. また電界により粒子を集めると, 電極表面からひげ結晶が作られ, それがおおきな樹枝状結晶に成長すること, その形がフラクタルであることも見い出した. これらの結果は国際会議で報告する予定をしている.
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