研究分担者 |
安藤 亘 筑波大学, 化学系, 教授 (30008429)
二木 鋭雄 東京大学, 工学部, 教授 (20011033)
杉本 豊成 京都大学, 工学部, 助手 (30093256)
斎藤 烈 京都大学, 工学部, 助教授 (20026082)
今中 利信 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (30029417)
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研究概要 |
本研究は酸化反応, 特に酸素分子を酸化剤とする超高率分子変換を目標として進められた. このため, 触媒となる遷移金属錯体による酸素の活性化, 新しい酸化剤の開発と高選択的酸化反応への応用, 酵素類似の高い位置および立体選択性を示す反応系の開発, 光増感酸素酸化の含硫黄有機物や含窒素化合物への応用, 生体内反応に関連の深い脂質の酸化などについて重点的に研究を行なった. 主な研究実績は次のとおりである. 1)二核鉄および銅錯体を用いて酸素の活性化とアルカンの酸化を行ない, 温和な条件で不活性炭化水素を酸素酸化する酸素添加酵素の類似反応に成功した. また触媒系の複合化により, 芳香族側鎖を酸素酸化によってアルデヒド基に選択的に転換する方法を見出した(諸岡). 2)飽和炭化水素に位置選択的に水酸基を導入する試薬を開発すると共に, DNA側鎖を位置特異的に水酸化するDNA切断分子のデザインを行なった. (斎藤). 3)トリプトファンー2, 3-ジオキシゲナーゼを範とし, 鉄(III)TPP錯体を用いて光学活性なイミンを酸化し, ヒドロキシケトンへの不斉誘導を行なった. (杉本). 4)リン脂質, コレストロール等の自動酸化で生じるヒドロペルオキシドの分析にケミルミネッセンス法が有効なことを見出し, 生体模中でのヒドロペルオキシドの生成機構の解明と高機能の抗酸化剤の開発を行なった(二木). 5)光増感酸素化によるヒドロペルオキシチアゾリン, 1, 2-ジオキソラン等の合成とその高選択的転換(安藤). 6)オレフィンおよびジオールの酸化的開裂における遷移金属錯体の役割と選択性の制御(今中). これらのなかでDNAの選択的切断はブレオマイシンの制ガン作用に関連して注目され, 二核鉄錯体によるアルカンの酸化はメタンモノオキシゲナーゼとの関連で興味がもたれる. 芳香続アルデヒドの酸素酸化による合成法の確立は, 安価な高効率の酸化法として工業的にも価値のある反応である.
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