研究概要 |
1.カーボンフェルトは表面積が大きく電解合成用の新しい電極としての利用が期待されている. この表面に官能基を導入する方法として, 電解酸化, 試薬酸化, 空気酸化による含酸素基の導入, クロルスルホン酸などによるスルホン基の導入を検討した. カーボンフェルト表面の官能基量は10^<-8>〜10^<久>個/cm^2の値が得られたが, 官能基の導入反応と同時に分解反応も進行し, これ以上の値にならなかった. またこれらの官能基を利用してTEMPO(テトラメチル-1-ピペリジニロキシジカル)を化学修飾し, その電極反応挙動を解析した. しかし修飾基の安定性に問題があり, なお検討中である. そこで, ポリアクリル酸を4-アミノTEMPOでアミド化したポリマーを炭素およびカーボンフェルトに溶液GHした修飾電極を製作した. この電極はTEMPOの可逆的電極反応挙動を示し, 2,6ルチジンの存在下ネロールは選択的にネラールに酸化され, TEMPOのターンオーバー数は1001hr以上の値となった. ビオローゲン, フェロセンの電気化学的レドックス種(メディエーター)の化学修飾についても検討中である. 2.生物電気化学反応器(バイオエレクトロケミカルリアクター)を構築するために, ジアホラーゼの酸素をアルブミンおよびグルタールアルデヒドを用いて架橋したポリマーをグラシーカーボンに被履したポリマー電極を用い, メチルビデオローゲンをメディエーターとしてNAD^+のNADHへの還元を研究した. 選択的にNADHが生成し, さらにNADHにより生化学的に還元される基質を共存させると, その基質の選択的還元反応をカップルさせることができ, 目的の反応器を実現できた. 現在メディエーターをジアホラーゼ膜に固定した複合機能電極の製作, 種々の基質への利用などを展開中である.
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