音声合成手法の高度化に関する研究

1987 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 62608003
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 桐谷 滋 東京大学, 医学部, 教授 (90010032)
• 研究分担者: 匂坂 芳典 (株)ATR自動翻訳電話研究所, 主任 ; 佐藤 泰雄 富士通(株), 複合第一技術部, 調査役 ; 森川 博由 東京大学, 工学部, 助手 (40011217) ; 藤崎 博也 東京大学, 工学部, 教授 (80010776) ; 今泉 敏 東京大学, 医学部, 助教授 (80122018)
• キーワード: 音声合成 / 規則による音声合成 / 自然言語処理 / 声質の合成 / 音源信号生成 / モデル / フォルマント軌跡合成規則 / 韻律パタン合成規則

研究概要

音声言語によるマン・マシン・インターフェイスの高度化に必須な, 自然性の高い文音声を規則合成する技術を開発するために主として以下の4項目を研究した. 1)与えられた文章から音声合成に必要な各種言語情報を決定するための言語処理手法の確立. 2)種々の声質の合成を可能とするための有効な音源信号生成モデルの確立. 3)発話速度の速い会話調の音声を考慮した自然なフォルマント軌跡を合成する規則の確立. 4)文章の統語情報, 意味情報, 談話情報をもとに, 自然な韻律パタンを合成する規則の確立. まず, 1)と4)については,対象を天気予報(全国の天気概況)に限定して, 漢字かな混じり文から語彙・統語・意味・談話構造に関する言語学的情報を抽出する言語処理システと, 抽出された言語情報から音声記号と韻律記号を導出する音韻処理システムの一部を構成した. また特に4)に関しては, 談話における焦点の有無につよるアクセントの変化も規則化し, さきに提案した基本周波数パタン生成モデルに組み込んで, その有効性を確認した. 現在さらに, 対象の拡大とシステムの一般化を進めている. 次に, 2)に関しては, 種々の条件下で音声波形と唇に於ける体積速度波形等を測定して逆フィルタ法で声門体積速度波形を求めるシステムを作成し, 男女声の差異の一部を明らかにした. 実測結果とモデルによるシュミレートの結果を比較検討し, 合成音声の品質を左右する主要因を明らかにする作業を進めている. さらに, 3)に関しては, 話者と発話速度を変動要因とした場合の, 有声破裂子音に挟まれた母音のフォルマント軌跡の変化を解析し, フォルマント軌跡の変化が各単音の生成過程の動特性に存在すること, 話者によって発話速度を上げる方法に差異があることなどを明らかにした. これらの特徴を考慮してフォルマント軌跡の合成規則の開発を進めている. 以上の研究を総合して, テキストー音声変換システムの基本的構想を検討した.

研究成果

• [文献書誌] S.Kiritani,M.Sawashiwa: Nethevlands Phonetic Archives,in Honor of Ilse Lehiste,R.Channon and L.Shockey Eds,Foris Publication,Holland,1987.139-149 (1987)
• [文献書誌] H.Morikawa,H.Fujisaki: Automatique-Producutigve Informatique Industrielle.22. 53-68 (1988)
• [文献書誌] H.Morikawa,H.Fujisaki: Traitent du Signal.6. (1987)
• [文献書誌] 今川 博,桐谷 滋,廣瀬 肇: 医用電子と生体工学. 25(4). 284-290 (1987)
• [文献書誌] 広瀬 啓吉,藤崎 博也: 電子情報通信学会誌. 70(4). 378-385 (1987)
• [文献書誌] S.Imaizumi,S.Kiritani,H.Hirose,S.Togami K.Shirai: Ann.Bull.RILP Univ.Tokyo.21. 147-151 (1987)
• [文献書誌] S.Kivitani,H.Fukawa,H,Imagawa,S.Imaizumi,S.Salto: Ann.Bull.RILP(1987) Univ.Tokyo.21. 1-8 (1987)
• [文献書誌] S.Kiritani,H.Imagaiva,H.Hirosc: Proceedinges XIth ICPhS,(Se98.5). 6. 44-47 (1987)
• [文献書誌] M.Sawashima,S.Kiritani: Proceedings 10Ith ICPS (Se96.3). 5. 419-423 (1987)
• [文献書誌] H.Fujisaki,H.Kawai: Proceedings 10Ith ICPhS (Se 15.5). (1987)
• [文献書誌] S.Kivitani,S.Imaizumi,H.Fujisaki: Pyeprints of tho Fist Symposium on Advanced Mar-Machine Interface Through Spoken Language.12-13 (1988)
• [文献書誌] 桐谷 滋,今泉 敏: 文部省学科研究費重点領域「音声言語」(昭和62年度)「声音言語によるマン・マシン・インターフェイスの高度化」研究報告. NO.PASL62-5-1. 1-8 (1987)
• [文献書誌] 藤崎 博也,森川 博由,河井 恒,若山 順彦: 文部省学科研究費重点領域「音声言語」(昭和62年度)「音声言語によるマン・マシン・インターフェイスの高度化」研究報告. NO.PASL62-5-2. 1-8 (1987)
• [文献書誌] 森山順彦,河井 恒,藤崎博也: 信学技報. 87. (1988)
• [文献書誌] 今泉 敏,桐谷 滋,寺輪あきこ子,森木紀恵,白井克彦: 信学技報. 87. (1988)
• [文献書誌] 今泉 敏,今川 博,桐谷 滋,白井克彦: 日本音響学会講演論文集I(昭和62年10月). 201-202 (1987)
• [文献書誌] 桐谷 滋,今川 博,今泉 敏,布川 宏,斎藤収三: 日本音響学会講演論文集I(昭和62年10月). 159-160 (1987)
• [文献書誌] 河井 恒,若山順彦,藤崎博也: 日本音響学会講演論文集I(昭和62年10月). 189-190 (1987)
• [文献書誌] 藤崎博也,若山順彦,河井 恒,高橋 登: 日本音響学会講演論文集,I(昭和62年10月). 191-192 (1987)
• [文献書誌] 今泉 敏,桐谷 滋,寺輪あき子,森木紀恵,白井克彦: 日本音響学会講演論文集,I(昭和63年3月). (1988)
• [文献書誌] 河井 恒,若山順彦,広瀬啓吉,藤崎博也: 日本音響学会講演論文集,I(昭和63年3月). (1988)
• [文献書誌] 藤崎博也,広瀬啓吉,若山順彦,河井 恒: 日本音響学会講演論文集,I(昭和63年3月). (1988)
• [文献書誌] 若山順彦,河井 恒,藤崎博也: 昭和63年電子情報通信学会春季全国大会. (1988)
• [文献書誌] H.Fnjisaki: Preprints of the Fist Symposium on Advanced Man-Machine Irterface Through Spoken Language. 1-8 (1988)
• [文献書誌] Y.Sagisara,S.Katagiri,K.Tareda: J.Acoust,Soc.Amer. V01.81SAPPL1. S93 (1987)
• [文献書誌] K.Tareda,Y.Sagisara,S.Katagiri: Proc Europ Speech Communication Ass Meeting 1987. 2. 13-16 (1987)
• [文献書誌] 匂坂芳典: 日本音響学会講演論文集(昭和62年秋). 1. 173-174 (1987)
• [文献書誌] 宮武正典,匂坂芳典: 電子情報通信学会技術研究報告. SP87-62. 9-16 (1987)
• [文献書誌] 匂坂芳典: 電子情報通信学会技術研究報告. (1988)
• [文献書誌] 武田一哉,匂坂芳典,桑原尚夫: 日本音響学会講演論文集(昭和63年春). 1. 177-178 (1988)