研究概要 |
SiCは耐熱, 耐放射線特性に優れているばかりでなく, 青色発光ダイオード材料としてデバイス応用に期待されている. そのため本研究では, SiC半導体表面での性質及び他のSiやGeなどの半導体とのヘテロ接合界面形成の研究を, 新しく開発している磁場型LEED装置を使って行うことである. 磁場型LEED装置の試作と並行してSiC単結晶表面の研究を行った. AES法と通常のLEED法及びRHEED法により, 表面組成, 結晶構造の観察を行いSiCの極性面の判別法を調べた. その結果, 6H-SiC単結晶表面のSi面(0001)及びC面(0001)は, AES法ではそれぞれSi(92eV)ピークに対するC(272eV)ピークのオージェ強度比C/SiはSi面では0.21〜0.29であり, C面では0.34〜0.38となる. またLEED, RHEED法による表面構造の判別法ではC面は3x3回折パターンが, Si面では√<3>x√<3>R30°及び2x2等の混在するパターンとなることがわかった. 次にSiC上へのヘテロ接合超格子層をつくるためにSi及びGeのヘテロ・エピタキシャル成長を観察した. SiCのSi面にはSiは層状的エピタキシャル成長を示すが, Geは島状エピタキシャル成長であり, C面ではいずれも島状エピタキシャル成長をすることがRHEED法で観察された. 現在はRHEEDを使っての位相制御(PLE)法をSiC上のSi, Geの成長実験に用いて遂行中である. 磁場型LEED法ではSiC単結晶が少々悪いものでも回折像が得られやすい. この装置によりSi(111)清浄面を用いて, 7X7回折パターンを得ることに成功した. 現在使っている蛍光面では回折スポット強度が弱いので,明るい蛍光面に置き換える作業を行っている. 将来,マイクロチャンネルプレートを用いて回折スポットの鮮明化を行いたい. さらに平面型蛍光面上でのLEED像を画像変換技術により理解し易い画像にする計画である.
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