研究課題/領域番号 |
62612501
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
引地 邦男 北海道大学, 理学部, 教授 (30000805)
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研究分担者 |
伊倉 光彦 北海道大学, 理学部, 教務職員 (00142688)
鴇田 昌之 北海道大学, 理学部, 助手 (80163963)
田中 勲 北海道大学, 理学部, 助教授 (70093052)
土倉 清一 北海道大学, 理学部, 教授 (40000806)
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キーワード | ポリオルニチン / Cu(II)錯体構造 / NMR / 常磁性緩和 / 化学交換 |
研究概要 |
ポリオルニチン(PLO)のCu(II)錯体の水溶液中の構造と動的挙動をNMRにより調べた。PLOにCu(II)を加えると、側鎖のCδ、Cδの^<13>CNMRシグナルの線幅が広がる。しかし、Cβ、主鎖のCα、C'は変化しないことがわかった。CδとCδの300Kにおける縦緩和速度はpH8以上になると増加し、pH9-10付近で極大を示すことから、Cu(II)12pH9以上で側鎖アミノ基に配位することを示している。pH10.2におけるCδとCδの縦緩和速度の温度依存性から、化学交換速度は縦緩和速度に較べて速い。炭素と金属イオンとの距離を求めるとCδ-Cu(II)=2.8Aが得られた。横緩和速度の温度依存性は、Cδについては330K付近に、Cδについては室温付近に極大を示し、極大温度以下で横緩和速度は温度上昇に伴い増加する。従って、この温度領域で化学交換は横緩和速度に較べて遅い。300Kにおける錯体の平均寿命は10^<-4>〜10^<-5>Sと評価される。一方高温領域では化学交換は速くなる。またCδ、Cδの1/5_2に対するスカラ-相互作用の寄与から電子スピンはCu(II)からCδ炭素まで流れ、CδにCδよりも多く局在していることを示している。アルカリ領域でCu(II)水溶液にPLOを加えると溶媒の水の'Hの緩和速度が増加することがわかった。この増加は、水分子を配位したCu(II)がPLOに配位することを示している。側鎖アミノ基に結合したCu(II)は少なくとも1分子の水を配位していることがわかる。
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