研究概要 |
1.総括及び超高速流の数値手法(保原):差分法では放物型近似を施したPNS方程式を解く数値計算法を確立した. この結果, 主流方向に剥離がない場合の流れの解析が容易になった. 又, ビーム・ウォーミング法により, 衝撃波を境界条件として解く方法を確立し, 衝撃波の位置, 空力係数など実験と良い一致を得た. 次に, この方法にTVD法を適用し, 衝撃波捕獲法により解く方法を確立した. 更に, 有限体積法ではマコーマック・TVD法を適用したコードを作製し, マッハ数3と8は実験値と良く一致した. この他にスペクトル法により飛翔体頭部の流れを解く方法を開発し, マッハ数4と8について計算した. 2.内部流に関する研究(梶):数値解析法を検証する上で重要となる精度の良い実験データを得ることを目的に, 光学計測におけるジータ処理の自動化を行った. 衝撃波を伴う二次元タービン翼列まわりの流れ場をマッハツェンダー干渉計によって映像化し, この像をCCDカメラで捉え, 画像処理を施した. 3.超高速飛行体まわりの流れの数値解析(久保田)(1)反応を伴う圧縮性流体の数値解析:超高速物体まわりの化学反応,振動非平衡等を含んだ実在気体の方程式に有用な数値解析法を得るために, 安定で解像度の高いTVDスキームを提案した. (2)大気圏再突入物体まわりの輻射加熱計算:詳しい輻射吸収物性を考慮し, 輻射伝達の方程式を用いて, 超高速飛行体が受ける輻射熱量を推定した. 4.非平衡緩和を伴う高温高速流の数値解析(西田):実機モデルのアークジェット推進機内部の流れ場を非平衡電離過程及び流れと電磁場との干渉を考慮してTVD・マコーマックスキームにより数値解析した. これにより, 投入パワーのうち電離エネルギーとして使われたまま推力へ回収されないエネルギーがかなりあることが判明した. なお, 昭和62年7月16日には, 宇宙科学研究所で超高速研究会を開き, 14名が参加した.
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