研究概要 |
1.班長は人体細胞におけるATP合成酵素の発現機構を明らかにするためそのβ遺伝子の5′-上流部の全構造を決定し, TATA-boxを欠くGC-boxとCAT-boxの役割CAT-assay法等で発現条件を解明した. 2.二井班員は大腸菌の変異株を用いて, ATP合成酵素のb-サブユニットのF_1結合能, H+輸送能γサブユニットのF_0形成能, εサブユニットのF_1-F_0結合能F_0補助能, βサブユニットのATP結合部位の残基の役割, αサブユニットの触媒反応における役割等を明らかにした(J.Bio1.Chem.262等に印刷中). 3.田川班員はATP合成酵素のF_1のATPaseinhibitorの補助蛋白質として発見した9K蛋白の役割がinhibitorの対立1igandであることを見出した. 両者には高いhomologyが存在し, F_1に9Kが結合した時には活性型, inhibitorが結合した時には不活性型となる. 4.西村班員は葉緑体膜からATP合成酵素のF1を除去した標品の脱共役剤存在下の光誘起性H^+放出はvector的な輸送で無く, 膜表面か膜内部のH^+に由来することを確かめ恐らくATP合成酵素のCFoによる可能性を示唆した. 5.班長は安定性の高い好熱菌のATP合成酵素の部位特異的変異と大量発現を行い. ATP結合部位の残基の意義を解明した. 半導体にF1を直結してそのion流を実測した(軽部と共同:Ann.N.Y.Acad.Sci.501). 更に, 重水中で発現したサブユニットを軽水中でのそれと再構成しその中性子散乱の実測に成功した(伊藤雄司, 原田三男, Brookheaven研究所と共同). 1.ATP合成酵素に関する国際会議. (班長と二井班員が組織, 米国, 豪州, 日本の三国). 2.Science Citation Index(1986). 第一著者論文のみでも班長238, 二井班員119編等多数. 3.国際生化学会議等々への招待講演(班長). 4.Ann.R.Bio.のATP合成酵素総説依頼(二井).
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