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1989 年度 実績報告書

埋蔵文化財の出土品の科学的保存に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 62810007
研究機関東京国立文化財研究所

研究代表者

新井 英夫  東京国立文化財研究所, 保存科学部, 室長 (00000456)

研究分担者 阿部 陽一  東京電機大学, 工学部, 助教授 (70057214)
本村 豪章  東京国立博物館, 考古課・原史室, 室長 (40000343)
キーワード木製遺物 / 出土木材 / 漆製品 / プロピレングリコ-ル / アルギン酸ナトリウム / 軟腐朽菌
研究概要

我が国で考古学的調査が行なわれると、木製遺物が高い頻度で出土する。これらの出土木材は、きわめて高湿または水漬けの埋蔵環境から発掘されるので、発掘後水漬けにして保存する場合が多い。そのとき、軟腐朽菌によって水漬け木材が表面から軟化・脱落・溶解する現象が知られている。本年度は、出土木材の軟腐朽について保存科学の立場から基礎的応用的研究を実施した。なお、木製遺物には漆製品が含まれる。
中里遺跡(東京)、坪井遺跡等で出土した井戸、柱根、倒木、自然木等の試料を収集し、その樹種を同定した。関東では、カエデ属、マツ属、クマシデ属、クヌギ、ヒノキ、ハリギリ、ケヤキ等が、関西ではアカガシ属、シイ属、ムクノキ、ヒノキ、クヌギ等が出土した。次に、これら水漬け出土木材に生育するカビを分離すると、Acremonium spp.,Humicola spp.,Penicillium spp.,Phialophora spp.に属する軟腐朽を引き起すカビであることが判明した。
本申請者は、これまで出土木材を水漬け保存していた期間を改善して処理方法が簡便でかつ保存し易い方法の開発を試みた。すなわち、水漬け状態の出土木材を、そのままプロピレングリコ-ル(PG)、接着剤、水(接着剤の溶剤として)の単独または混合物で処理し、まず15〜25℃、50〜70%RHで約40日間開放状態に保った後、ポリエチレンフィルム袋中に入れ、袋の口は軽く合わせた半密閉状態で、10〜20℃、40〜60%RHで約140日間処理するのである。その結果、無処理の水漬出土木材は、開放状態に置くと3日後(蒸発量約48%)には層状剥離が発生し、6カ月後には完全に剥離して反り返った。これに対し、PG単独処理のときは、反り返りはないが剥れる傾向を示した。また、PG含浸率が高くなると結露を生じた。接着剤では、デキストリンには効果が認められず、アルギン酸ナトリウムで好結果を得ている。

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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