研究概要 |
1.前年度に程発した流動速度勾配セルの試作品を完成した。この装置の中心は、軸を共通にする内径12mmのガラス製同筒容器と外径10mmのガラス製円柱とであるが、この両者の軸を合わせて且つその位置ならびに方向を入射レーザー光(両者の間隙に入れる)と合致させるための微調装置がついている。この微調装置は外円筒と内円柱とを互いに独立に、三方向の平行移動ならびに傾斜変更することが可能であるようにつくられている。また、内円柱は歯のついたベルトによって直流モーターと連結され、これによって回転する。回転速度はモーターにかける電圧を調節することによって可変となっている。本装置は所期の目的であるDNA+薬剤溶液のラマン.散乱や蛍光の異方性を検出する性能を有するのみでなく、糸状ミセルを形成する系の分子配置幾何学を知る上にも応用できることが知られた。ただし、後者の場合にはモーターの低速回転を安定に保つため、定電圧発生装置にもう一工夫が必要であることが判明した。 2.次に、微量DNA溶液に電場をかけてラマンスペクトルを測定できる装置の開発を開始した。まずラマン顕微鏡用の液体試料は、ガラス板の中央に高さ2〜6mm径2〜6mmの山高帽子状のふくらみをつけた容器の内側に付着させ、ここに上部からレーザーを入射集光するのが適当であることを発見した。この発見に基き。ガラス山高帽の内側空間を小さいゴム栓等によって密閉し、その天井に向って一対の白金電極が突出している形のセルを数種試作した。これは光学的には所期の目的を達し得ることが判明したので、これに連結すべきゲート付き矩形定電圧発生装置の製作を開始した。 3.上記の開発と平行して、DNA+薬剤(アクラシノマイシン,アドリアマイシン,ポルフィリンの金属錯体)系の分光学的調査を行ない、成果を一部公表した。
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