研究概要 |
1.Pseudomonas cepacia アズキ畑土壌より採取したRBー425株からピロカテコールと共に得られた抗菌活性物質は塩化鉄により紫褐色を呈しNMRとIRから分子内水素結合をしたフェノール性水酸基;アルデヒド基及び4個の連続した芳香族水素の存在が予想された。MSスペクトルよりはイオウの存在が示唆され、分子式C_<10>H_7NO_2Sをもつものと考えられた。イオウの性格についてはNMRからチオール,チオエステルが否定されチオフエン,チアゾール、イソチアゾールの可能性が残された。スペクトルを総合的に判断することで結局2ー(0ーヒドロキシフェニル)ー4ーホルミルチアゾールと推定した。文献検索による本化合物はすでに同種の菌から得られていることがわかり、スペクトルデータは完全に一致した。 2.Pseudomonas aeruginosa 畑の土壌から採集した菌のSー7株について、アズキ立枯病菌Fusarium oxysporum FAー3に対する生育抑制作用を検出した。菌のメタノール抽出物をTLC上に展開し、立枯病菌をシードしたプレート上にそのTLCを伏せて培養することで抑制物質がどの位のRf値をもつか調べる方法により3個の活性物質を単離した。これらはスペクトル等から既知物質であるヘミピオシアニン、クロラフィン、フェナジンー1ーカルボン酸と同定された。これらはF.oxysporumの発育をそれぞれ100、200、200μg/mlの濃度で阻止した。実際の農業に於いて、これらを使用するアズキ立枯病の抑制研究はその後北海道農業試験場で行われている。 3.Suillus grevilleiに過酸化脂質生成阻害活性のあることがわかり活性物質を抽出単離した。活性は分離肝細胞を使いADP存在化NADPHに依存する酵素的な脂質過酸化反応を行い、生じた過酸化脂質をTBA法で測定する法によった。得られた活性物質の構造はNMR等により1-Acetoxy-2,4-dihydroxy-6-geranyl geranyl benzeneと決定された。
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