研究課題
試験研究
本研究で開発されたリアルタイム誘電緩和スペクトロメータは、多周波信号合成ユニット、電気変位検出ユニット、波形ディジタイザ/アナライザ・ユニットおよびシステム・コントローラとしてのパーソナル・コンピュータから構成される。2年間の研究の概略は次の通りである。1.波形ディジタイザ/アナライザ・ユニットを開発した。このユニットは超高速ECLゲートアレイを用いて、ウォルシュ・アダマール変換(符号付きの整数加算)の並列処理を行い、多周波電気変位応答の各周波数成分の同時復調を行うものである。2.多周波信号合成ユニットの開発を行った。このユニットは、試料への印加電場波形を合成するためのものであり、コンピュータから転送されてきた正弦波の重ね合わせ波形Σn Re [e^<iwt>] を内蔵メモリに一時記憶し、次に、コンピュータにより指定された周波数の読出しクロックに従って、この内蔵メモリの内容を逐次読出しながら高速D/A変換を行う。3.テスト測定用試料セルおよび広帯域電気変位信号検出ユニットを製作した。また、システム・コントローラとしてのパーソナル・コンピュータ用のソフトウェアとして、測定制御プログラムならびに緩和スペクトルのリアルタイム表示および解析のためのプログラムの開発を行った。4.以上のユニットを組合せて、数10μs以下の短時間で変化するような非定常系の高速追跡を可能とするリアルタイム誘電緩和スペクトロメータを完成させた。これを用いて、大振幅の低周波電場により分極反転を起こさせた高分子強誘電体(VDF-TrFE共重合体)の高周波誘電緩和スペクトルのリアルタイム測定を行い、反転途上にある双極子の運動状態について新たな知見を得た。
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