研究課題/領域番号 |
62850019
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
城野 政弘 大阪大学, 工学部, 教授 (20029094)
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研究分担者 |
安井 一雄 大阪大学, 工学部, 助手 (50029047)
菅田 淳 大阪大学, 工学部, 助手 (60162913)
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キーワード | 電界放射型走査電子顕微鏡 / 直接観察 / 観察部雰囲気装置 / 疲労き裂 / き裂開閉口 / 真空環境 / 除荷弾性コンプライアンス法 / コンピュータ制御 |
研究概要 |
電界放射型走査電子顕微鏡内疲労試験装置に付設した観察部環境調整装置を用い、大気環境下の疲労き裂進展試験を行うとともに、電子顕微鏡観察を併せ、疲労き裂進展挙動ならびにき裂開閉口挙動に及ぼす大気真空環境の影響を検討した。一方向性けい素鋼板を用いたMode I型疲労き裂では、大気、真空両環境下ともストライエーション形成機構でき裂が進展することが確認され、また応力拡大係数の変化に対するき裂先端開口変位の変化も余り相違しないことがわかった。き裂開口点は本誠験の場合、真空環境下の方が高くなった。このことは昨年度実施したP/Mアルミニウム合金で比較的滑らかな破面を呈したき裂進展の場合と同様であり、したがってMode I型疲労き裂では酸化物誘起き裂閉口は余り支配的でなく、むしろ真空中ではき裂先端の再溶着などがき裂閉口に関与し、これがき裂進展抵抗を高めている一つの原因であることがわかった。次いで実用材としてCrMo鋼を用い、熱処理により材料組織、硬度、繰返し軟化特性を変化させ試験を行ったが、き裂開閉口現象にはこれらの材料特性が複雑に影響していることが明かとなった。特に繰返し軟化特性は、き裂縁の塑性変形領域を大きくすることからき裂開口点を高くするようであり、このことは真空環境下で材料の塑性流動が起り易くなることを考えれば、先の真空中で開口点が高くなったことと定性的には符号するようである。本研究では、昨年度の試験と併せ以上のように種々の因子を変化させ、き裂開閉口機構について検討を加え、いくつかの重要な知見を得たが、き裂開閉口挙動は材料、環境、荷重レベルに依存する極めて複雑な現象であることも確められたことから、なお今後の研究の積重ねが必要である。また、温度による影響をも調べるため、試験片チャック部のスペースを大きくし、ヒータの組込みをも試みたが、き裂開閉口挙動への影響の検討については今後の研究課題である。
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