前年度に続いて実験と理論解析の数値計算を行った。まず実験においてはパイプ長さの影響について調べた結果、パイプ長さを短くすると発音周波数は高くなり、周波数変化幅は長さが長くなるにしたがって小さくなる。発音モードは長さが長くなるにしたがって高次へと移って行くことがわかった。パイプ内径の影響は内径が小さくなるにしたがって周波数変化幅は大きくなった。周波数変化幅への影響は最大で1000Hz以上を示した。また内径が小さくなるにしたがって発音が得られるパイプ位置の範囲が狭くなることもわかった。さらに吹き付ける空気の圧力の影響は、圧力が上昇するにしたがってマウス上を流れる空気流速が速くなり位相進角は減少する。また、適当な発音が得られる空気圧力の範囲があることも明らかになった。発音モードの影響は、周波数変化幅は発音モードに最も大きく依存し、モード数が低いほど周波数変化幅が大きくなることもわかった。 温度測定の実験については、小さいスピーカから発音させこれをマイクに入れ、ファンクションゼネレータからの周期信号と騒音計からの信号との時間差をクロスコヒーレントで測定した。音速は温度の関数であるためこの時間差は温度に依存することになる。この時間差を測定して温度測定が可能となることを明らかにした。測定の結果1℃以下の微小温度変化も測定可能であり、測定範囲も広いことがわかった。 さらに一端閉口パイプについても実験し、パイプ内に挿入した棒の微小変位と周波数との間に対応関係があることも実験により明らかになり、接触式変位計測方法においても本研究の音響周波数を用いる方法が有用であることがわかった。 この測定方法を工作機械主軸の熱変形の測定に用いた結果、高い信頼性のもとに熱変形の測定ができることもわかった。
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