研究課題/領域番号 |
62850034
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
赤松 映明 京都大学, 工学部, 教授 (40025896)
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研究分担者 |
城山 友広 京都大学, 工学部, 教務員
福増 広幸 武田病院, 心臓血管外科, 医長
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キーワード | 血液ポンプ / 遠心ポンプ / 歳差式遠心ポンプ / 溶血試験 / 代用赤血球 / ポンプ特性 / ポンプ効率 |
研究概要 |
1.歳差式遠心血液ポンプのエアー部,ディフューザおよび羽根の形状に改良を加えた結果、ポンプ効率・特性の著しい向上が見られた。具体的には、(i)流入部エアー部先端からエアー全長にわたって開口した"ら線状"の流入路とし、流入口面積を広くした。(ii)ポンプ出口のディフューザの広がり角を7°とし、ディフューザ軸を旋回方向とは逆の方向に反らし滑らかな形状とした。(iii)羽根を従来のソロバン珠状から長い棍棒状に変えて、羽根の根元部にもポンプ作用を荷わせた。以上の結果、最高効率は53%に達し、所要の圧力100mmHg、流量6l/minを従来より低い回転数の2500rpmで達成できた。 2.溶血試験の再現性をよくするため、感圧紙のマイクロカプセルで赤血球の代りをさせて、模擬溶血試験の方式を確立することができた。この(模擬)溶血は時間に対して指数関数的に増加していくことが認められた。 3.ポンプ材料のアクリル樹脂と同じ屈折率をもつNaI水溶液を作動流体としてレーザ・ドプラ流速計(LDV)を用いて、ディフューザ内の流速分布を測定した結果、流れが内側に片寄っていることがわかり、ディフューザを少し内側に向ける必要のあることが判明した。 今後、(i)ポンプ内面の角張った部分には丸味を持たせて流れの剥離を減らし、(ii)LDVによって環状流路内流れの詳細な測定を行って、ポンプ効率・特性のさらなる改善の方策を探るとともに、(iii)模擬溶血試験を本格的に行って、ポンプ特性と溶血の関係を明らかにし、他のロータリ型のポンプやローラポンプとも比較試験を行う。さらに、生体血液を用いた溶血試験ならびに動物実験を進めていき、臨床への応用に近づけるべく努力を続けていく。また、ポンプとモータを一体化して、より小形の血液ポンプを開発し、体内埋込み形人工心臓として用いる道も探っていく。
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