無重量状態での使用を目的とする質量測定システム(宇宙はかり)の開発

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 62850043
• 研究機関: 大阪府立大学
• 研究代表者: 小野 敏郎 大阪府立大学, 工学部, 教授 (20081250)
• 研究分担者: 大須賀 公一 大阪府立大学, 工学部, 助手 (50191937) ; 辻尾 昇三 大阪府立大学, 工学部, 講師 (40081252) ; 栗林 勝利 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (30081251)
• キーワード: 宇宙はかり試作システム / 水平型振動機構 / ビ-ム型ロ-ドセル / 無重量状態の等価的実現 / 2次元機能シミュレ-タ / 質量動的測定実験 / 質量推定アルゴリズム

研究概要

まず、前年度末に納入された試作モデルIIの基本性能を調べるための基礎実験を行なった。試作モデルIIでは、搭載用モデルを指向したために、振動機構のコンパクト化と部品点数の減少が必要であった。このためにビ-ム型ロ-ドセル式はかりの振動機構を水平型振動子として採用したが、FFTによる振動波形分析の結果、水平軸方向の振動以外に並進方向に直交する水平軸まわりに回転ねじれ振動が生じていることが解った。この原因を究明した後、試作モデルIIの改良を行なった。
つぎに、試作モデルIIの改良期間中を利用して、試作モデルI(昭和62年度試作)と今年度に製作したエア-ベアリング支持のフロ-トテ-ブル(2次元機能シミュレ-タ)とを利用した無拘束状態での動的測定実験を行なった。これは2次元機能シュミレ-タ上に試作モデルIを装着し、2次元平面内において無重量状態を模擬した測定環境での動的測定実験である。その実験結果は0.6KgをFS値とした総合精度が高々0.8%(2σ,FS)であり、現時点での宇宙実験用計測機器の最低限のスペック(1.0%)をクリア-はしているが、十分であるとは言いがたい。
さらに、試作モデルII(改良後)に対する基本性能実験とこれを用いた同様の測定実験を試みたが、質量測定の総合精度は1.5%(2σ,FS)であり、十分満足のゆく結果は未だ得られていない。
したがって、平成2年度には、まず試作モデルIIの再度改良というハ-ドウエア側からの施策に並行して、測定精度を支配するセンサ・ダイナミクス補償用ディジタルフィルタの決定アルゴリズムと質量測定アルゴリズムの見直しを行い再度そのフィ-ジビリティ-・テストを行った後に、最終報告書をまとめることにしたい。

研究成果

• [文献書誌] 大須賀,小野,栗林,辻尾: "無重力状態での質量動的測定実験ー装置、方法および実験結果の概要ー" 日本機械学会関西支部第64期定時総会講演会講演概要集. No.894-1. 68-69 (1989)
• [文献書誌] 岡本,大須賀,小野: "柔軟関節を持つマニピュレ-タの適応的軌道追従制御" 日本ロボット学会誌. 7-2. 167-171 (1989)
• [文献書誌] 辻尾,小野,栗林,大須賀: "エアべアリング支持フロ-トテ-ブル上での質量動的測定実験ー微小重力下での質量測定技術の確立をめざしてー" 第6回宇宙利用シンポジウムプロシ-ディング、日本学術会議航空宇宙工学研究連絡委員会・宇宙科学研究所. 28-33 (1989)
• [文献書誌] T.Ono,K.Kuribayashi,S.Tsujio & K.Osuka: "Further Experimental Studies on Dynamic Mass-Measurement under Weightless Conditions," Preprint of the SICE'89. 1045-1048 (1989)
• [文献書誌] T.One & S.Tsujio: "Further Experimental Studies on Dynamic Mass Measurement Method under Two-Demensional Weightless Condition," Bull.Univ.of Osaka Prefecture,Series A,. Vol.38. 1-11 (1990)
• [文献書誌] 小野、伊賀: "無重量状態における質量動的測定装置" 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会'90論文集. (1990)