研究課題
試験研究
本研究は、4〜6%の珪素を含む高珪素鉄合金の急冷薄帯を用い、圧延と熱処理を施すことにより {110} 〈001〉 結晶粒集合組織を実現して超低損失の電気鉄板を作製し、その磁気デバイスへの応用を計ることを目的とするものである。この研究を遂行するに当り、本研究では主として下記の事項を中心に研究を行った。(1)圧延条件、熱処理条件及びこれら諸条件の磁気特性に及ぼす効果の研究を進める。(2)高珪素鉄合金薄帯を用い、小型変圧器などを試作し、その磁気的、機械的特性を評価する。これらの計画に対し、得られた知見、成果は研究報告に詳しく記載されているがその主なものは以下の通りである。(1)の計画に対しては、本研究により開発された高圧下率圧延法を採用することにより、1150℃で1時間の焼鈍を施すことにより、薄帯全面を(110)面で覆うことができるようになった。 [001] 軸の配向性も非常に優れていて、全結晶粒のずれ角αは5°以内に入っていて、平均のずれ角は約1.5°であった。こうして得られた薄帯の磁気特性は飛躍的に向上し、磁化力800A/mにおける磁束密度B_8は、飽和磁束密度の96%に相当する1.86Tを示し、抗磁力は6.0A/mと小さくなった。(2)に対しては、鉄損を中心にその評価を行った。その結果薄帯に10mm間隔のスクラッチを入れ4kg/mm^2の張力を印加したところ、鉄損値W_<12.5/50>は0.22W/kg、W_<15/50>は0.32W/kg、W_<17/50>は0.51W/kgという驚くべき小さな値を示した。
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