研究課題/領域番号 |
62850068
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
張 吉夫 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (20029846)
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研究分担者 |
近藤 和夫 富士通研究所, 化合物半導体研究部, 主任研究員
柴富 昭洋 富士通研究所, 化合物半導体研究部, 部長代理
梅田 徳男 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (40142319)
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キーワード | 超高速 / 光検出器 / HEMT構造 / 多重 / 2次元電子ガス層 / ピコ秒 |
研究概要 |
HEMT構造を多重化するのに先だって、まず、2次元電子ガス層を単層から二層とした。しかし、たんに単層構造を二層化するだけでは試料中のHEMT構造特有の2次元電子ガス層の二層化は困難であった。このため、2次元電子ガス層の二層化の工夫を行い、試作(MBEによる)を繰り返し、二層構造における最適HEMT断面形状を得、2次元電子ガス層の二層化した試料を得た。 上記試料を光検出器とする際、その電極平面形状のうち、ゲート幅は50μmとした。 1方、素子の応答特性を評価するための光源は、3ps程度の超短光パルスを発生できる態勢を維持した。 二層構造を持つHEMT光検出器の応答特性をサンプリングオシロスコープにより直接観測した。まず、その光応答感度について述べる。2次元電子ガス層を二層構造とした素子は、単層構造素子の1.7倍程度の感度を示した。このことによって、2次元電子ガス層の二層化に伴う高感度化の目的が達成せられた。次に、光応答速度についてはサンプリングオシロスコープの測定限界(立ち上がり時間≦25ps)よりも、単層・二層構造の両試料とも速い(半値全幅で約50ps以下)ため直接観測できなかったが、これまでの単層構造での結果から、二層構造にすることによる応答速度の低下は見られないと考えている。 以上の結果を素子作製へフィードバックさせ、2次元電子ガス層の多層化を試みたが、まだ、多層構造とした時の素子の断面形状の最適化条件は見い出せていない。しかし、以上に得られた結果を多重化HEMT構造の素子に適用し、ピコ秒台の応答をもつ高感度な光検出器を実現できる見通しを得ることができた。
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