研究課題/領域番号 |
62850072
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
稲場 文男 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (90006213)
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研究分担者 |
佐藤 俊一 東北大学電気通信研究所, 助手 (30162431)
伊藤 弘昌 東北大学電気通信研究所, 助教授 (20006274)
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キーワード | レザ-顕微鏡 / 微細加工 / 生体細胞 / 細胞融合 / 光トラッピング / 集光レ-ザビ-ム / 半導体レ-ザ / エキシマレ-ザ |
研究概要 |
本研究は回折限界まで絞り込んだレ-ザ光ビ-ムを用いることにより、数ミクロンから数十ミクロンの大きさの単一生体細胞の微細加工や捕捉・移動などの操作を非接触で超精密に行うことのできる新しいアクチュエ-タシステムの研究開発を目的とするものである。具体的には、紫外域パルスエキシマレ-ザ光を用いて生体細胞の微細加工を行う、レ-ザマイクロプロセッシング装置の試作開発と、可視域および近赤外域の連続発振レ-ザ光を用いて生体細胞の捕捉、転送を行うレ-ザトラッピング動作の研究を行った。試作開発した紫外域レ-ザマイクロプロセッシング装置は、倒立型落射蛍光顕微鏡の2次元ステ-ジ上に試料を載せ、これに対物レンズを回折限界まで集光した紫外域パルスレ-ザ光を照射する方式をとっている。このステ-ジは圧電素子モ-タを用いることにより1μJ以下の精度で位置を精密に制御できるようになっている。本装置を用いて細胞への様々な照射実験を行い、穿孔、切断、融合などが可能であることを明らかにした。また、波長488nmのArレ-ザと0.73および1.33μmの半導体レ-ザを用いてレ-ザトラッピング効果の実験を行い、ポリスチレンラテックス球やリンパ球、赤血球、イ-スト菌などの様々な単一の生体細胞試料の非接触、非破壊的な3次元的光トラッピングが可能であることを実証した。これら2つの半導体レ-ザの場合には、可視域のArレ-ザとは対照的に生体細胞に対するダメ-ジがほとんどみられないことから、光トラッピングのためのレ-ザとして近赤外域のレ-ザが有用であることが明示された。以上本研究の実施により、レ-ザを用いた全く新しい生体細胞用超精密アクチュエ-タシステムの実現のための基盤技術が十分に確立され、今後生命科学・工学や医学における広範な応用の進展が期待される。
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