点検後の海洋構造物の信頼性計算法の開発 damage tolerant 設計が採用される時は検査および修理が重要な要素となる。検査に関連する情報は信頼性評価のために十分ではなく、理論的に解析方法を議論することは出来ても実用に供することは困難である。そこで、かなり主観的判断を伴うような場合を考慮して、Bayesian reliabilityを適用することを試みてきた。 その結果に基づいて亀裂伝播を考慮した不安定破壊等が重大な破損原因である場合を含めた解析が可能であるような方法を検討した。米国の船級協会、あるいは、U.S.Coast Guardも関心を示しているので、Columbia大学のShinozuka教授、藤本研究員とも連絡を取りながら、また、航空機体の検査に関してもこの方法が有効であろうということで、航空宇宙技術研究所の朝田、伊藤の両氏にも検討を依頼して、研究を進めた。大型計算機によるsimulationによって有効であることを確かめた。大型計算機用のprogramをパーソナルコンピュータに移植する試みも行ない、充分実用しうるという見通しを得ている。また、この種の解析には、損傷の度合いの報告が必要であるが、精度の良いデータは得にくい。そこで、fuzzy Bayesian reliabilityの理論を応用する事を試みた。小さい亀裂、大きい亀裂および中間の大きさの亀裂の三つのfuzzy setを考えて、正確なデータを得た場合と比較してどのような差があるかを検討した結果、非常に有効であることが判明した。構造検査の結果を信頼性、安全性の確保に用いようとすると、検査に対する要求が過大なものとなり、結局、実用的でなくなるが、本研究の結果を応用するならば、実用的な検査プログラムを策定することが可能になる。
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