研究課題/領域番号 |
62850079
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小瀬 邦治 広島大学, 工学部, 教授 (40034409)
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研究分担者 |
長澤 明 海上保安大学校, 助教授
岩崎 寛希 大島商船高等専門学校, 講師 (70149970)
平田 法隆 広島大学, 工学部, 助手 (80181163)
平尾 三郎 広島大学, 工学部, 助手 (70181138)
加藤 隆 広島大学, 工学部, 助教授 (90093012)
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キーワード | エキスパートシステム / 自動操船 / 避航エキスパートシステム / 海上交通シミュレーション / 自動離着桟 / 要素操航 / 操船限界 / 人間の制御モデル |
研究概要 |
本年度の研究目標はパイロットに相当する知的判断能力を備えた自動運航システムを開発することである。当然ながら、人工知能手法の一種であるエキスパートシステムを利用した知能部分が対象であり、航路上の障外物を避けて、目的とする方向に船を誘導する自動避航エキスパートシステムと、曳船等の補助手段を駆使して桟橋まで船を誘導する自動離着桟エキスパートシステムが開発目的となる。 自動避航システムを具体化する為に、操船知識ベースをプロダクションシステムの形で構築した。自船の予定航路上での衝突の危険を初歩的な論理的判断をふまえて定量的に評価するルール、海上交通の規則や慣例を表現するルール、避航の為に新しい予定航路を設計するルール等が構築され、それに予定航路上に船を航行させる自動誘導法を組合せ、自動避航シミュレーションを実施した。その結果、避航は船の間の相互連携行動として把握すべきことが明らかになり、相手船の行動予測の為のルールを構築した。こうして構築した自動避航システムを海上交通シミュレーションを通じて評価したところ、避航能力そのものについてはパイロットと同等、あるいはそれ以上と判断された。しかし、パイロットの立場からシミュレーション結果を評価してもらった結果では、本システムによる避航行動は合理的ではあるが、現実のパイロットは一層、慎重であるとのコメントを得た。今後の検討課題である。 自動離着桟システムについては、昨年度に開発した出入港操船シミュレータを用いて、人間の操船の分析を行った。先に提案した要素操船という概念を用いて、それを組合せる形で操船計画の原型を立案しうることが明らかになったが、この接続の仕方に関する知識の整理が必要であり、検討中である。他方、保針、変針という要素操船について、その操船限界の評価法がほぼ明らかになり、安全性評価手法の前進を得た。
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