研究課題
昨年度、RC床版と鋼トラスとを合成させた構造について実験および理論解析を行ったが、今年は更に進んでRC床版と逆型の鋼アーチとを合成させた構造について実験的、理論的研究を行った。上路の逆アーチでは、上弦材には下弦材のアーチの水平力により橋軸方向に全長に亘り一様の圧縮力が作用するので、これに対し、圧縮に強いRC床版が共同作用することは都合がよい。又、等分布荷重が満載する場合以外には上弦材には曲げモーメントが発生し、更に荷重が上弦材に直接載せる場合には格間および格点上モーメントが発生するが、これらに対して、RC床版と鋼上弦材とは通常の合成桁の様に作用する。以上の様にこの種の合成構造は未だ実例を聞かないが、構造的に合理的で、経済的であり、将来有望な構造であると信じられる。本年は支間2.4mの模型3体に対し実験を行った。即ちアーチ高が大きく、スタッドの配置が格点に集中と分散の各1体、更にアーチ高が小さく、スタッドを分散配置したもの1体である。荷重はまず中央点に弾性挙動の限界として30tf、次に1/4点に載荷し、破壊に至るまで段階的に荷重を増した。解析はまず上弦材を完全合成として全体を解き、次にばねを介して床版と鋼弦材を合成させた上弦材に対して外力や上記の格点力を加え、最後に床版の応力分布をFEM解析で求めるために、床版をメッシュに分割し、これにばねから伝達される力を加えた。実験や解析から多くの有益な知見を得たが、主なものは、(1)床版の破壊は圧壊よりもむしろ割裂によるものであった。(2)アーチからの水平分力は両端付近でスタッドを介し急速に床版に導かれ、又、スタッドヘの影響は曲げモーメントによるものに比べて小さい。(3)アーチ高の差については、たわみ、ひずみ等の傾向にほとんど差を生じなかった。(4)今回の実験の範囲ではスタッドの配置は集中型より分散型の方が優れていた。
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