研究課題/領域番号 |
62850083
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
三木 千寿 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20016645)
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研究分担者 |
森 猛 東京工業大学, 工学部, 助手 (10157860)
増田 陳紀 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (00016700)
寺田 博昌 横河橋梁製作所(株), 研究所, 所長
三上 市蔵 関西大学, 工学部, 教授 (80067636)
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キーワード | 鋼橋 / 疲労損傷 / 疲労設計荷重 / Tー20荷重 / すみ肉溶接部 / 疲労亀裂形状 |
研究概要 |
現在ある膨大な数の鋼橋を、今後安全かつ経済的に維持・管理していく上で不可欠と考えられる、疲労損傷の要因を解析し、その損傷を定量的に評価するためのエキスパ-トシステムを構築すること、またそのための基礎的資料を提供することを目的とし、本年度は以下の検討を行なった。 現行の道路橋示方書での設計活荷重は終局限界状態を想定したものであり、疲労は繰返し応力の大きさとその繰返し数に依存するため、疲労設計荷重については別の観点から検討する必要がある。そこで、ここではTー20荷重を疲労設計荷重として用いることを試み、その際に問題になるであろう疲労被害に対する橋梁部材の断面力の影響線形状の影響、同時載荷の影響および多主桁橋の荷重分配作用の影響について、影響線と荷重列のシミュレ-ションを用いた断面力変動の解析に基づいて検討した。その結果、影響線形状の影響は非常に小さい、影響線の基線長が50m以下であれば1車線橋の同時載荷の影響を考慮する必要はない、疲労設計荷重としてはTー20荷重が適切であり、その繰返し数は大型車交通量から求められることなどが明らかとなった。 これまでの疲労損傷デ-タによれば、その多くはすみ溶接の止端部から生じた表面疲労亀裂によるものである。このような疲労損傷部材の補修方法やその時期を決める上で、またその余寿命を予測する上で最も基礎的なデ-タとなる疲労亀裂の形状について、これまで著者らが種々のすみ肉溶接継手を用いて行なったビ-チマ-ク試験の結果に基づき検討した。その結果、板曲げを受ける継手では軸方向力を受ける継手よりも疲労亀裂の形状が偏平となる、これまでに提案されている疲労亀裂形状予測式を用いて亀裂の表面での長さからその深さを予測すると過度に安全になることなどを明らかにするとともに、新たに疲労亀裂形状予測式を示した。
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