研究課題
岩盤の水理・力学的性質は、含まれる地質不連続面(クラック)に強く依存している。しかし、クラック面は複雑な幾何学模様を作っていて、その水理・力学に及ぼす効果を具体的に把握することは至難とされている。この研究は、1)地質情報の数量化、2)画像処理技術の応用による地質調査の省力化、3)地質情報を織り込んだ岩盤の解析モデル化、についてそれぞれ検討すると共に、4)岩盤の地質調査から設計に至る一連の作業を新しい観点から再構築することを、その目的としている。今年度の研究成果は次のように要約できる。1)不連続性岩盤の透水性: 昭和62〜63年度の研究より、不連続性岩盤の透水性はクラックの幾何学的特性を表すテンソルによって具体的に定式化され、その結果の妥当性は、数値実験の結果から裏づけられている。今年、透水性の応力依存性を取り上げ、特に、深さに伴う透水係数の変化について理論と数値実験との両面から検討した。2)実岩盤でのケ-ス・スタディ: 石油の地下備蓄基地として工事が進行中の串木野(鹿児島県)を取り上げ、実地に地質調査並びに試料収集を行なった。本年度は、得られた資料を用いて、1)初期地圧の主軸方向、2)地質構造の異方性の主軸、3)掘削軸の方向が岩盤の変形挙動に及ぼす影響について、主にFEMによる三次元解析を行なうことによって明らかにした。解析結果は、現在、実測による変位との比較を行うことによって、解析の信頼性について具体的に検討している。
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