砕波帯における流れの長期観測用超音波流速計の開発とその応用に関する研究

1988 年度 研究成果報告書概要

• 研究課題/領域番号: 62850097
• 研究種目: 試験研究
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 水工学
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 土屋 義人 京都大学, 防災研究所, 教授 (90025883)
• 研究分担者: 磯部 憲雄 海上電機, 第一技術部, 部員 ; 森田 行司 海上電機, 第一技術部, 部長 ; 西村 達郎 日本気象協会, 調査部海洋調査課, 主事 ; 棚橋 輝彦 日本気象協会, 調査部, 部長 ; 吉岡 洋 京都大学, 防災研究所, 助手 (10027287) ; NISHIMURA Tatsuro Head, Observation Division, Japan Meteorological Agency ; MORITA Koji Director, First Technical Division, Kaijo-Denki ; ISOBE Norio First Technical Division, Kaijo-Denki
• 研究期間 (年度): 1987 – 1988
• キーワード: 超音波流速計 / 砕波帯 / 海浜流 / 沿岸流 / 流れの構造

研究概要

1)砕波帯における流れの長期観測用超音波流速計の開発 海上電機(株)製RC-300およびFC-300型の超音波流速計を対象として開発研究を行った。まず、RC-300型流速計は、元来長期観測用であるが、砕波帯においては砕波に伴う気泡の混入のみならず、漂砂の影響を受け、超音波パルスが減衰し検出不能となる場合があり、そのためノイズ処理回路を根本的に改良して十分な計測ができるようにした。また砕波帯の流れの3次元性のため、流速計センサー部の構造を改良し、3次元流速成分の効果的な計測ができるようにした。ついで、FC-300型流速計は本来短期計測用であるが、砕波帯の乱れ構造を計測するためにはこの程度の規模のセンサーであることが、要求されるので、同様な観点から改良し、少なくとも数週間の連続観測に耐えうるようにすることができた。
2)砕波帯における流れの構造 RC-300型流速計3台による長期連結観測を大潟海岸において実施し、ぼう大な観測資料を得た。その結果、
(1)海岸流の平均流の記録には潮流成分の影響はほとんど現れず、風および波浪による流れが卓越し、その月毎の頻度表を作成した。それによると、沖向きの強流は冬期に1ケ月に5回程度出現するが、夏期には弱流で存続時間も短かい。一方、沿岸方向の流れは四季を通じて存在し、東流が卓越していることがわかり、本海岸の海浜過程の究明に寄与する結果といえる。
(2)冬期季節風時には、波浪特性と関係して、その初期では沿岸流が卓越し、やがて強い沖向きの流れが発生する。その流速は波浪特性によるが50cm/s以上の強流を示す。この事実から波浪、風特性との関係で沖向き流れの発生の実態を見出すことができた。一方、FC-300型流速計による観測結果では、短期間の観測結果であるが、砕波帯内における乱れ特性を究明するのに役立つ観測ができることがわかった。

研究成果

• [文献書誌] 土屋義人・吉岡洋・棚橋輝彦・西村達郎・小堀泰宏・森田行司: 第36回海岸高額講演論文集. (1989)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 土屋義人・吉岡洋 他: 京都大学防災研究所年報. 32号B. (1989)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 土屋義人: 学術月報. (1989)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Tsuchiya, Y.; H. Yoshioka; T. Tanahashi; K. Nakai; K. Morita; N. Isobe: "Long term nearshore current observation in surf zones with ultra-sonic current meter" Proceedings of the 36th Japanese Conference on Coastal Engineering, JSCE. (1989)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Tsuchiya, Y.; H. Yoshioka; T. Tanahashi; K. Nakai; K. Morita; N. Isobe: "Long term nearshore current observation in surf zones with ultra-sonic current meter" Annuals, Disaster Prevention Research Institute, Kyoto University,. 32 B-2. (1989)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Tsuchiya, Y.: "Development of ultra-sonic current meter for long term nearshore current observation in surf zones" Japanese Scientific Monthly. (1989)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より