研究課題
試験研究
<概要>交通事故防止や円滑な道路交通の確保を目的とした道路環境整備を行うためには、多くの運転者の多様な道路・交通条件のデータが必要である。本研究では、実際の道路・交通条件の再現のもとで多くの人々(無免許者を含む)の運転特性データを、安全かつ短時間に収集できる自動車運転シミュレーターの開発と、運転挙動と運転操作量とを自動記録し分析評価できる運転適性診断システムの開発を行った。<機能>自動車運転シミュレーターは(1)自動車特性であるハンドル・ブレーキの時定数、(2)道路特性である幾何構造(曲線半径、曲線長など)の要素、(3)交通特性である車両走行状態、歩行者、障害物などの要因、をそれぞれ任意に組み合わせて選択できるようになっており、今後予想される道路・交通・自動車性能の変化にも対応できる。運転適性診断システムはシミュレーターを運転させることにより、被験者の(1)車両速度ステアリング操作量、ブレーキ操作量、障害物・横断歩行者回避タイミング量等を自動的に計測し、(2)相関分析、スペクトル解析、判別関数法を適用し、運転適性の有無を決定できるものである。また、これらのシステムはすべて日本語による会話形式で、パラメータの設定、ファイル管理および障害発生時の処理を行うことが可能となっている。<結果>本研究で開発した運転適性診断システムは、運転特性の総合評価はもとより、道路幾何条件および交通条件に応じて各項目毎に運転特性が評価され、評価結果は分かりやすい文章により出力される。また、本システムを18歳から79歳までの被験者46人に適用した結果、年齢および経歴(運転歴、職種など)が判定結果に大きく依存することが示され、特に、5段階評価法では60歳以上の高齢者は3以下、20歳代は3以上と明確に分けることができた。
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