研究課題/領域番号 |
62850101
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大垣 眞一郎 東京大学, 工学部, 助教授 (20005549)
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研究分担者 |
宮 晶子 荏原総合研究所, 第5研究室員
大村 達夫 岩手大学, 工学部, 助教授 (30111248)
金子 栄廣 東京大学, 工学部, 助手 (60177524)
藤田 賢二 東京大学, 工学部, 教授 (40107529)
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キーワード | 大腸菌ファージ / 活性汚泥への吸着 / 生物膜への吸着 / ウィルスの不活化 / コンポスト化 |
研究概要 |
1.大腸菌ファージQβを用いて、活性汚泥へのウィルスの吸着について調べた。下水処理場より採取した活性汚泥を用いて実験をした結果、大腸菌ファージQβは5分以内の間に急速に汚泥に吸着し、吸着後一部のファージが不活化することがわかった。室内で培養した活性汚泥を用いた実験の結果、大腸菌ファージの汚泥フロックへの吸着は混合液中のイオン濃度が高い程よく起こること、および汚泥に吸着したファージは微生物の活動によって容易に不活化することがわかった。 2.下水の散水炉床処理(生物膜処理)においては、活性汚泥処理に較べてコリファージを除去する能力が小さいことが明らかになった。これは、コリファージの生物膜への吸着親和性が活性汚泥へのそれと比較して小さいことに原因があった。すなわち、生物膜1mgの乾燥重量当りの吸着ファージ数は33pFUであり、活性汚泥の場合の62PFU/mgの約1/2であった。また、大部分のコリファージは生物膜への吸着によって除去され、不活化によるものではないことも明らかになった。 3.下水汚泥のコンポスト化プロセスでは、自己発熱にともなって得られる高温がウィルスの不活化を促進する最大の要因と考えられる。そこで、大腸菌ファージを指標として下水汚泥に吸着したウィルスの不活化に与える温度の影響について調べた。その結果、37℃以上の高温域では汚泥中の不活化速度が水中での不活化より大きくなり、下水汚泥コンポスト化施設設計指標(案)で示されている65℃以上2日間以上という条件を満たせば充分な衛生化が行えることが確認された。また、高温域では汚泥の含水率が低い程不活化が速く進むことも明らかとなった。
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