研究課題/領域番号 |
62850105
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
小野 徹郎 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (30024300)
|
研究分担者 |
中川 進一郎 中部電力, 原子力土建課, 技士
岩田 衛 新日本製鉄, 建築鉄構部, 部長代理 (50322532)
久保寺 勲 巴組鉄工所, 設計部, 部長
|
キーワード | 溶接接合部 / 切欠 / 片側欠陥 / 破断延性 / COD / 破壊力学 / 塑性変形能力 / Overall Strain |
研究概要 |
本年度は、溶接欠陥が板巾方向の片側に偏在する溶接接合部において全断面降伏後、溶接欠陥からの亀裂が安定成長した後に不安定破壊伝播が開始するときの延性レベルを破壊力学的手法により定量的に評価することを重要点とする。溶接接合部モデルに対して非破壊試験である放射線透過試験と破壊試験である単純引張実験を行い、種々の溶接要因が溶接欠陥発生と溶接接合部破断延性に及ぼす影響を明らかにした。これらの結果から片側に欠陥が偏在する場合を抽出して片側欠陥を有するモデル単純引張実験を行った。実験から実断面応力ーOverall Strain関係では片側欠陥試験体の亀裂先端の応力集中により耐力、変形能力とも両側欠陥試験体より劣る。片側欠陥試験体のCOD-Overall Strain関係では、両側欠陥試験体に比べ、各降伏段階の勾配が急であり破断延性も大きく低下する。塑性域の不安定拡大段階に対応する遷移領域も欠陥長の増加と共に急速に不明瞭となっていく。この段階の勾配は板厚の増加に対して塑性拘束が強くなる為に緩やかになる。逆に溶着金属の降伏応力度の増加に対しては材料の延性が低下するため急になる。また板厚の増加に対しても同様な傾向がある。亀裂進展と板厚拘束の影響を考慮した有限要素法を用いて片側欠陥試験体モデルの弾塑性解析を行った結果、大規模降伏状態以降のCOD-Overall Strain関係は初期欠陥長、材料特性値の増加に伴って遷移領域が認められない。更に、現実の鋼構造溶接接合部が激震時に大きな繰返し曲げを受ける場合を想定して片側欠陥を有する柱ー梁溶接接合部モデルの極低サイクル曲げ載荷実験を行い破断までの繰返し回数の大半を亀裂伝播期間が占める柱ー梁溶接接合部の破断延性をCOD破壊基準により決定し、その定量的評価を行った。
|