研究課題
アルミニウムアモルファス合金粉末とその粉末からバルク材を作製するための最適組成を決めるために、アルミニウム基合金のアモルファス相の生成範囲と機械的性質や熱的安定性などの基本的性質の解明を前年度に引続き行なうとともに、2〜3の合金系において超高圧ガス噴霧装置を用いてアルミニウムアモルファス粉末の作製を試みるとともに得られた粉末のバルク化とその基本的性質を調ベた。アモルファス相は、AlーSiーM(M=還移金属)やAlーGeーMの金属ー半金属系3元合金およびAlーMiーM_2(M_1=IV、V、VI族の還移金属、M_2=VII、VIII族の還移金属)の金属ー金属系3元合金の外に、AlーLn(Ln=希土類元素)系2元合金およびAlーLnーM系3元合金において生成することが判明した。特に、AlーLnーM系合金のアモルファス形成能は他のアルミニウム基合金の形成能よりも大きく、しかもその引張強さや硬さも高いことを見出した。また、AlーLnーNiやAlーLnーCo系合金では結晶化温度以下の温度域でガラス還移覘家が現われ、アモルファス粉末からアモルファスバルクを得るのに適した性質を有していることが明らかになった。これらの知見に基づいて、AlーYーNi系合金において超高圧ガス噴霧法によりアモルファス球状粉末の作製を試みた結果、Heガスを用いた場合に約25μm以下の粒形粉末がアモルファス相になること、および25μm以下のアモルファス粉末が80〜90%の高歩留で作製できることが明らかになった。現在、このアモルファス粉末を温間加圧焼結法や温間押出し法によりアモルファス相を保持した状態でバルク化するための諸条件を検討しており、小片ではあるがアモルファスバルクの作製に成功している。今後、より詳細に条件を検討することにより、高強度をもつアモルファスバルクへの成型法を確立できるものと考えている。
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