研究課題/領域番号 |
62850125
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小幡 充男 東北大学, 工学部, 教授 (10005548)
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研究分担者 |
中居 則彦 (株)日本高周波鋼業, 開発部, 総務部付執務員
三原 毅 東北大学, 工学部, 助手 (20174112)
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キーワード | 超音波 / 表面波 / 後方散乱 / 非破壊検査 / 浸炭 / 周波数解析 / 実効値 |
研究概要 |
昨年度は、後方散乱波の送受信システムを受信信号解析用ソフトウェアまで含めてほぼ完成させ、さらに実用浸炭鋼を模擬して浸炭深さを変えた試料の準備を完了した。 本年度は、昨年度の実績を踏まえて、完成した測定システムによりまず均一組織材料の後方散乱信号測定を行い、浸炭材料測定のための基礎的検討を行った。はじめに、本材料の後方散乱信号の測定に最も適した超音波伝播様式として、縦波法とRayleigh波法の2法を検討した。その結果、受信信号上に発信信号の漏れが観測され、探触子近傍で受信信号はひずみを生じることが分かった。このため、従来最も広く用いられてきた縦波法では、試料表面近傍に対応する散乱信号がひずみ、今回用いた浸炭材のように、評価すべき組織が表面下直下にある場合、浸炭情報を含む位置の散乱波を歪なく測定することは困難であることが分かった。一方、Rayleigh波は浸炭材表面に沿って伝播するため、散乱信号がひずむ場所を避けて、浸炭層の情報を含んだ散乱波を測定することができる。そこで本研究では、Wedge法を用いたRayleigh波を用いることとし、まず本研究に適したWedgeの材質・形状を検討した。そして、用いたWedgeにより後方散乱波が受信できるかどうかを確認するために、組織均一材を用いた予備実験を行った結果、Rayleigh波の後方散乱波により従来の縦波法と同様、後方散乱波が測定できることが確認できた。そこで、本法を低合金鋼の浸炭深さ評価に適用した。具体的には、後方散乱波を周波数解析処理(FFT処理)し、そのパワースペクトラムから実効値電圧を求めて、浸炭深さとの関係を調べた。その結果、浸炭深さの増加に伴って、後方散乱信号の強度は減少することが分かった。この関係を用いれば、Rayleigh波の後方散乱波により浸炭深さの評価ができる可能性のあることが分かった。
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