研究課題
試験研究
高速度モータを用いた遠心噴霧式急冷凝固粉末作製装置を試作し、Al-1.8%Cr-1.7%Zr合金およびAl-Si合金(Si:0〜18%)の急冷凝固粉末を作製するとともに、同粉末の熱間押出成形法について研究を行った。さらに得られた急冷凝固粉末の押出成形材(P/M材)と比較用の鋳造材の押出成形材(I/M)材の耐熱性ならびに強度特性についての評価をも実施した。その研究結果を箇条書きすると、次のようになる。(1)18,000rpmで高速回転しているグラファイト製の円盤上に、直径0.5mmφのノズルから合金溶湯を噴射し、遠心力によって飛散させ、上から吹きつける窒素ガスによって急冷凝固させ粉末とする技術を確立した。(2)ダイス形状ほかの熱間押出条件について研究を重ね、Al-Cr-Zr合金圧粉体を450℃で、Al-Si合金圧粉体を512℃で押出成形することができた。(3)Al-Cr-Zr合金の場合、I/M材に較べ、P/M材の結晶粒は微細であり、押出直後のマイクロビッカース硬さは64(I/M材では32)であった。300、400、500℃で36hrの焼なまし後のマイクロビッカース硬さは60、54、43であり、耐熱性に優れていることが示された。(4)Al-Si合金P/M材では、結晶粒とSi粒子の両方が細く、I/M材に較べ破断伸びが大きかった。以上の本研究結果、急冷凝固アルミニウム合金粉末の押出成形によって、強度と耐熱性に優れた材料を作製しうることが明らかとなったが、さらに急冷凝固粉末作製方法ならびに押出成形法について改善を進めるとともに、急冷凝固粉末および熱間押出材の電子顕微鏡観察を実施することによって、本研究はさらに発展することであろう。
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