研究課題/領域番号 |
62850129
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西沢 泰二 東北大学, 工学部, 教授 (60005212)
|
研究分担者 |
川原 業三 岩手製鉄, 常務取締役
鎌田 真一 秋田大学, 鉱山学部, 助手 (50006673)
石田 清仁 東北大学, 工学部, 助教授 (20151368)
|
キーワード | 浸炭 / 炭化物 / 結晶粒微細化 / 機械的性質 / 鉄合金 / 複合材料 |
研究概要 |
CD(炭化物分散)浸炭法によって、市販の高速度鋼より優れた工具鋼の作製を目的として、その最適組成を得るための基礎実験ならびに選定鋼の諸特性の調査を行った。 1.浸炭特性及び二次硬化性に及すV、Cr、Mo、W、Coの影響:CD浸炭に通した組成を調べるために、2、5、10、15、20%Vの試料とさらに合金元素としてCr、Mo、W、Coを各々2〜10%添加した試料を作製し、浸炭深さ、浸炭硬さならびに炭化物の分散状態を調査した。その結果、(i)V濃度の増加とともに浸炭層の深さは減少すること、(ii)良好な浸炭硬さと組成を得るには、V量は5〜10%が適当であること、(iii)合金元素Cr、Mo、W、Coの添加は、浸炭硬さ、二次硬化性や耐摩耗性の向上に有効であること、(iv)多量の合金元素の単独あるいは複合添加を行うと、σ相やχ相などの脆い金属間化合物が生成するので、Cr、Mo、Wは約6%以下、Coは約10%以下が望ましい事などがわかった。 2.CD浸炭法による微細粒高速度鋼の作製: 以上の基礎実験にもとづいて、CD浸炭法による高速度鋼の試作を行うために、比較的廉価なCD5V鋼(5Vー1Crー4Mo)および高級鋼CD7V(7Vー2Crー4Moー3Wー5Co)を選定し、特性調査を行った。CD5V鋼は、マトリックスの結晶粒径が約5μm、炭化物の大きさ約1μmの極めて微細な組織を有し、550℃の焼戻し硬さHV870、引張強さ2.4×10^3N/mm^2、抗折力4×10^3N/mm^2、耐摩耗性は市販の高速度鋼より優れた結果が得られた。この結果を、昭和63年11月日本鉄鋼協会秋期大会で発表した。なお、CD7V鋼については、現在試料を作製し、諸特性を調査中である。
|