研究課題/領域番号 |
62850130
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤森 啓安 東北大学, 金研, 教授 (60005866)
|
研究分担者 |
白川 究 財団法人電気磁気材料研究所, 研究員
神垣 知夫 東北大学, 金研, 助教授 (20005846)
金子 武次郎 東北大学, 金研, 助手 (70005883)
森田 博昭 東北大学, 金研, 助手 (50005914)
吉田 肇 東北大学, 金研, 助手 (90005950)
|
キーワード | 表面弾性波 / 表面弾性波巨大減衰効果 / 表面弾性波デバイス / スパッター法金属膜作製 / 交流帯確率 / 多層確性膜 |
研究概要 |
近年、水晶基板につくられた"すだれ状"電極間に厚さ約200AのNi膜を蒸着すると、20Oeという弱い外部確場で表面弾性波の挿入損失を40db/cm以上の広範囲にわたり制御出来る表面弾性波巨大減衰効果が見出された。しかも、この挿入損失は、膜厚に依存し、上記200Aで最大になり、膜厚を厚くすることによって、より大きな挿入損失をもつ表面弾性波デバイスをつくり得ないことも明らかになった。また上記実験と同時におこなわれた、交流帯確率の測定は、交流帯確率の外部確場依存性と挿入損失のそれとに密接な関連があることも明らかにした。 本研究の目的は、上記事実の検討の結果、約200AのNi膜を非確性金属W膜で交互にはさんだ多層膜をスパッター法により作製し、より挿入損失の大きな表面弾性波デバイスの開発基礎研究を行うことにある。 本年度は、次項に記す研究をおこなった。 1.本年度研究費で、スペクトル・アナライザーを購入し、168、231、300MHzの表面波を励起出来る"Li型"電極をもつSTーカット水晶基板を用い、表面波伝播、減衰の測定が出来るよう整備した。 2.上記の水晶基板上に、スパッター法により125A厚のNi膜と50AのW膜を交互に積層した多層膜を作製した。 3.上記多層膜の交流帯確率が、層数に比例して増強された確場依存性を示すことを確かめた。 4.表面弾性波の多層膜による挿入損失も、上記交流帯確率の場合と同様に、層の数に比例し増強された確場依存性を示すことがわかった。 以上の如く、研究結果は、本研究の目的に述べた、より大きな確場制御挿入損失をもつ表面弾性波デバイスの開発が可能であることを明らかにした。現在、非晶質強確性多層膜について、同様の研究をおこない、巨大減衰効果の機構解明とデバイスの開発を試みている。
|