研究課題/領域番号 |
62850135
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属材料
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
徳永 洋一 九州大学, 工学部, 教授 (60037710)
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研究分担者 |
星野 和夫 日新製鋼周南製鋼所, 生産管理部, 部長
高木 節雄 九州大学, 工学部, 助教授 (90150490)
HOSHINO Kazuo NISSHIN STEEL CO., LTD. SHUNAN WORKS
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 超微細結晶粒 / 高強度 / オーステナイト系ステンレス鋼 / 加工誘起変態 / マルテンサイト / 逆変態 / プレス成形性 |
研究概要 |
本研究者らは、すでにFe-Cr-Ni系の準安定オーステナイト・ステンレス鋼でマルテンサイトからオーステナイトへの逆変態により0.5μmの超微細粒を得ることに成功している。本研究の目的はまず超微細粒が得られるつぎの3条件を決定するための検討である。 :(1)冷延でオーステナイトがほぼ完全にマルテンサイトに変態する。(2)比較的低温の焼なましでマルテンサイトは完全にオーステナイトへ逆変態する。(3)逆変態したオーステナイトのMs温度は室温以下に存在する。つぎの目的はモリブデンと窒素を含む高強度鋼に適した化学成分を決定することである。最後に370kg鋼塊を用いて製鋼工場でパイロット・ラインによる加工熱処理を行った。そして引張性質とプレス成形性が調査された。得られた結果はつぎのようである。 1.Fe-Cr-Ni系での代表的な超微細粒鋼の組成はFe-15.5%Cr-10%Niである。90%冷延後600℃-10minの焼なましを行った試料では平均0.5μmの超微細粒で焼く70kgf/mm^2の0.2%耐力を示した。 2.13%Cr-10%Ni-2.5%Mo-0.12%N鋼の強度は15.5%Cr-10%Ni鋼に比べてさらい上昇した。これはモリブデンと窒素による固溶体硬化よりも、むしろオーステナイト粒がさらに微細化したことに起因する。この高強度鋼は逆変態処理後に、0.2μmのオーステナイト粒で、0.2%耐力:100kgf/mm^2、引張強さ:120kgf/mm^2、伸び:35%を示した。 3.この高強度鋼の集合組織は{110}型であった。n値とr値はいずれも18-8オーステナイト鋼より若干低いので深絞り性は十分でなかった。したがって、この鋼は厳しい成形を要しない部品、たとえば鉄道車輌用オーステナイト鋼に適用できると思われる。
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