研究課題
試験研究
1.石英ガラスの真空紫外吸収測定系の整備大パワー紫外線光源として例えばArFレーザ(波長193nm=6.4eV)の実用化が有望である。その波長域の石英ガラスの吸収の本質を解明するには、短波長側からの測定が必要である。62年度は真空紫外分光光度計(日本分光製VUV-200型:標準試料室付)を購入し、各種石英ガラスの吸収端近傍を測定した。同一試料を電総研のシンクロトロン軌道放射光を用いて測定し、データを比較し誤差の低減を図った。63年度は上記分光光度計に接続する長尺試料移動型の「改良型試料室」を購入し、微弱吸収域の測定精度を改良した。2.石英ガラス中の微視的欠陥による真空紫外吸収:その製法依存性気相合成-直接ガラス化法で量産される石英ガラスは数百ppmのOH基を含むが、OH基はその濃度に比例する指数関数的な裾を7〜8eVの領域にもたらすことを定量的に明らかにした。CVD-ハロゲン脱水処理ガラスは酸素不足型欠陥による7.6eV吸収帯を与え、酸素過剰型欠陥を含むガラスは7〜8.2eV域に余分な裾を与えることを見出しその諸性質を明らかにした。3.レーザ光照射により生ずる着色中心とその抑制石英ガラスにArFまたはKrFレーザ光を照射すると種々の着色中心が生成するが、217nm吸収帯(E 中心)と260nm吸収帯は上記レーザ光の透過率を下げる。水素、アルゴン、窒素等の雰囲気中で熱処理し両着色中心生成への影響を調べた。酸素不足型無水石英ガラスは水素処理でE中心の生成は1桁も増加するが、OH基含有ガラスの場合は水素処理で上記2吸収帯の生成は数分の一に低下することを見出した。本研究の結果、大パワー紫外線光学系に用いる石英ガラスの着色の問題とその抑制に関して有用な基礎的知見が得られた。
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