研究課題/領域番号 |
62850145
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山添 昇 九州大学大学院, 総合理工学研究科, 教授 (40037817)
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研究分担者 |
竹内 隆 豊田中央研究所研究3部, 主任研究員
玉置 純 九州大学大学院総合理工学研究科, 助手 (10207227)
清水 陽一 九州大学大学院総合理工学研究科, 助手 (20192114)
三浦 則雄 九州大学大学院総合理工学研究科, 助教授 (70128099)
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キーワード | ペロブスカイト型酸化物 / 酸素透過膜 / 混合導電体 / ガス分離 |
研究概要 |
実用デバイスへの応用として、ペロブスカイト型酸化物を用いて多孔質基体を調製し、その上に同じペロブスカイト型酸化物の緻密薄膜を形成することを試みた。ペロブスカイト型酸化物としては、他に優れた酸素透過能を有するものを見いだしているがデバイスの試作段階であることから安価で組成が簡単でしかもかなりの酸素透過能を有するLa_<0.6>Sr_< 0.4>CoO_3を選んだ。多孔質基体の作成では、酸化物粉末にメチルセルロース(MC)やカーボンファイバー(CF)を添加して焼結する方法や酸化物粉末を分級して粒径をそろえた後焼結する方法を試みた。MC添加焼結体では気孔は層状で不均一であり、基体の空気透過率は非常に低かった。またCF添加焼結体は基体ディスク面に垂直で均一な直孔を持ち、空気透過率もMC添加焼結体よりも1桁大きいが、CF添加量に上限があり、細孔密度の増加には限界があることがわかった。これらに対して酸化物粉末を44〜74μmに分級した後焼結した基体は粒間気孔の連結による貫通孔を持ち、さらに大きな空気透過率を示すことがわかった。以後基体はこの方法により作成した。緻密膜の作成では、スパッタリング法と懸濁液噴霧積層法を試みた。スパッタ法では50時間のスパッタにより約6.5μmの膜が形成されるが、大きな開孔は完全に塞がらず、緻密膜は形成されなかった。さらにこの膜を1200℃・1時間の熱処理を行うと膜のいたるところにクラックが発生し、高温でも安定な緻密膜の作成は困難であることがわかった。一方、酸化物粉末の懸濁液を基体上に噴霧し、1400℃・1時間焼結する方法では、噴霧焼結を繰り返すごとに空気透過率は減少し、4回の積層操作によりほぼ0となった。この方法により約15μmの緻密膜層を形成できることがわかった。このようにして作成したデバイスの酸素透過速度は、前年度測定した緻密焼結体(厚さ約1.5mm)の約2倍となった。この値は薄膜化による期待値の1/5であり、この原因としてSrの表面偏析を考えた。
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