研究分担者 |
武内 隆 豊田中央研究所研究3部, 主任研究員
玉置 純 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (10207227)
清水 陽一 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (20192114)
寺岡 靖剛 長崎大学, 工学部, 講師 (70163904)
三浦 則雄 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (70128099)
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研究概要 |
本研究では、酸素透過膜材料として混合導電性ペロブスカイト型酸化物を選び、材料探索・混合導電性の評価・酸素透過膜デバイスの試作を行った。 21種類のLnCoO_3系ペロブスカイト型酸化物を調整し、その酸素透過能に及ぼすA,Bサイトイオンの組合わせや置換量の効果を系統的に調べた。その結果、透過膜材料としてLa_<0.6>Sr_<0.4>Co_<0.8>B′_<0.2>O_3(B′=Cu,Ni),Gd_<0.6>Sr_<0.4>CoO_3,La_<0.2>Sr_<0.8>Co_<0.8>Fe_<0.>2O_3およびGd_<0.2>Ba_<0.8>Co_<0.7>Cu_<0.2>Fe_<0.1>O_3が特に優れていることがわかった。ペロブスカイト型酸化物の混合導電性は電子ブロッキング法により検討した。La_<1-x>S_<rx>Co_<1-y>F_<ey>O_3系では、電子導電率は〜10^2Ω^<-1>cm^<-1>,酸素イオン導電率は1〜10^<-2>Ω^<-1>cm^<-1>であり、酸素イオン導電率は安定化ジルコニアよりも1〜2桁大きく、ペロブスカイト型酸化物は電子、イオン両方の導電率の高い優れた混合導電体であることがわかった。実用デバイスの作成に当たって、デバイスの機械的強度および酸素透過能を考えて、多孔質基体上に酸素透過薄膜を持つ構造とした。多孔質基体および緻密膜はどちらも同じペロブスカイト型酸化物で作成し、両者の密着性を良くした。試作デバイスは、安価で簡単な組成を持ち、しかもかなりの酸素透過能を有するLa_<0.6>Sr_<0.4>CoO_3を用いて作成した。多孔質基体を44〜74μmに分級した酸化物粉体の焼結により作成すると、基体は粒間気孔の連結による貫通孔を持ち、試みた基体作成法の中で最も大きな空気透過率を示した。また基体上への緻密膜の作成は懸濁液噴霧積層法により達成された。酸化物粉体の懸濁液の2.0mg/cm^2を基体上に噴霧し、1400℃・1時間焼結する過程を繰り返すと、繰り返すごとに空気透過率は減少し、4回の積層操作によりほとんど0となった。この方法により約15μmの緻密膜を形成できることがわかった。このようにして作成したデバイスの酸素透過速度は、厚さ約1.5mmの緻密焼結体の約2倍となったが、この値は薄膜化による期待値の1/5であり、この原因としてSrの表面偏析を考えた。
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