研究課題/領域番号 |
62850154
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
高柳 素夫 九州産業大学, 工学部, 教授 (40037643)
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研究分担者 |
添嶋 康廣 九州産業大学, 工学部, 助手 (10179377)
植田 茂行 九州産業大学, 工学部, 助手 (90069576)
永石 俊幸 九州産業大学, 工学部, 教授 (20069529)
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キーワード | ポリ(pーフェニレンテレフタルアミド) / ポリアニオン / ポリピロール / 導電性高分子 / 電解重合 / 2相構造 / ポリアニリン / 二次電池 |
研究概要 |
(1)ポリ(pーフェニレンテレフタルアミド)(PPTA)をポリアニオン化し、これを電析して得られたフィルムで被覆した電極上にピロールを電解重合することにより,強固な導電性複合膜を作成した。電子顕微鏡によるモルフォロジーの観察および動的粘弾性の温度依存性の解析から、この複合膜が二成分の分子間に特別な相互作用のない2相構造であり、相互侵入型で物理的に複合化していることを明らかにした。 (2)PPTA電析膜が残存溶媒を含む状態で、粗い構造をしていることがポリピロールとの複合化を可能にした。PPTA電析ゲルを塩酸処理して得た膜は、これまでのアセトニトリル処理した膜に比べ結晶性が高く、またPPTAの電析の際に取り込まれていたナトリウムイオンが除去されたものとなる。この膜を用い、ポリピロール複合後に塩酸処理をすると、処理前より高導電性で、しかもその熱安定性および力学特性が改善された。これは、塩酸処理によってポリピロールのドパントであるpートルエンスルホン酸イオンが塩素イオンに変わることにより、ポリピロール自身の導電性、力学的性質が向上したことが原因であることを明らかにした。 (3)高分子導電体の中で最も有望な二次電池正極材料であるポリアニリンとPPTAを複合化することにより、ポリアニリンの脆弱さを補強した導電性複合膜が得られた。複合化はPPTAを被覆した電極上に過塩素酸水溶液中でアニリンを電解重合して行った。PPTA/ポリアニリン複合膜の弾性率は2.5GPa、強度は136GPaであった。ポリアニリン単独膜と複合膜を正極とし、Znを負極として、電解液にZnSO_4水溶液を用いた二次電池の諸特性を調べた結果、両者の特性がほぼ変わらないことが分かった。したがって、PPTA電析膜は導電性高分子の電気物性を損なうことなしに力学的性質を改善できる材料であることが分かった。
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