研究課題/領域番号 |
62860001
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
沖野 啓子 (森島 啓子) 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (70000247)
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研究分担者 |
池田 滋 香川大学, 農学部, 助手 (90151290)
平岡 洋一郎 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助手 (20145113)
稲村 達也 奈良県農業試験場, 技師
米澤 勝衛 京都産業大学, 工学部, 教授
黒田 喜佐雄 奈良県農業試験場, 場長
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キーワード | 雑種弱勢 / 赤米 / 遺伝子汚染 / 品種退化 / 雑草性 / シミュレ-ション |
研究概要 |
従来は一般栽培されなかった特殊なイネ品種が他用途米として水田に栽培される機会もふえてきた。これらの品種の多くは在来品種で、通常品種に種子あるいは花粉を通して遺伝子が移入した場合有害となり品質低下をもたらすことが心配されている。その対策を考えるために本研究班では、奈良県農試が実際に育種を始めた赤米をとり上げ、遺伝子汗染の機構とその防止策に関する研究を行った。本年度は最終年であったので、各班員は実験の補充とデ-タのとりまとめを行った。結果の詳細は別にとりまとめた研究成果報書にのせたが、以下に概要を記す。 (1)赤酒醸造用の赤米品種育成を目的として、交配母本の選定を行った。多数の赤米品種の農業特性および醸造特性を調査し、品種の評価をした。 (2)自然交雑によって花粉を通して遺伝子汗染が起ることを防止するため、雑種が致死あるいは弱くなる雑種弱勢遺伝子を赤米に導入することを計画した。優良な特性を持つ赤米品種『総社』にペル-品種Jamaicaの持つ雑種弱勢遺伝子Hwcー1を房し交雑で導入し、中間母本系統を育成した。 (3)品種間交雑の際の花粉間競争のメカニズムを研究するには異品種花粉の識別ができると有用である。その目的で品種特異的な花粉タンパク質に対する抗体の作製を試み成功した。 (4)赤米という特性と脱離性・休眠性に代表される雑草性との遺伝的関係を調査した。その結果は赤米性を雑草性は遺伝的には独立であるが、赤米の遺伝子と脱塑性の遺伝子の連鎖が示唆された。 (5)雑種弱勢遺伝子を利用して赤米遺伝子の通常品種への混入を防ぐという方法が、どの程度有効であるかをシミュレ-ションによって検討した。
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