研究課題/領域番号 |
62860011
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡 智 広島大学, 工学部, 教授 (80034320)
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研究分担者 |
和田 武志 フマキラー(株), 開発本部, 開発管理部部長
小川 謙吾 フマキラー(株), 開発本部, 本部長
城 智彦 県立広島病院, 院長
重田 征子 広島大学, 工学部, 助手 (10034381)
小埜 和久 広島大学, 工学部, 助手 (10144883)
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キーワード | ダニアレルゲン / ダニ喘息 / アレルゲン / ヒスタミン遊離 / 低分子量アレルゲン / 遺伝子工学 / ダニ汚染 / cDNA |
研究概要 |
1.主要ダニアレルゲンの分子量分布と分離精製 ダニ排泄物粗抗原及びダニ虫体粗抗原をUltrogel AcA54で分画し、それぞれのフラクションを複数のダニ喘息患者の洗浄白血球と反応させ、この刺激で遊離するヒスタミンをHPLC法で測定してアレルゲンの分子量分布を調べた。いずれの粗抗原中にも従来の主要アレルゲン以外に幅広い分子量分布をとるアレルゲン成分が共通に存在し、その中でどのアレルゲン成分が主要アレルゲンであるかは、喘息患者により大きく異なることがわかった。このヒスタミン遊離測定法により、未知の分子量約3.5kの主要アレルゲンを見い出し、これをゲル濾過法で分画単離した。このアレルゲンは、糖質を45%含み、その活性は熱、アルカリ、酸に安定で、過沃素酸酸化及びヒドラジン分解で全く消失した。また、免疫原性及びアナフィラキシ-誘発性を示さないが、昨年分離した高い免疫原性を示すが全くアナフィラキシ-誘発性のない主要高分子アレルゲンと交差反応性があり、また、一部のダニ喘息患者に強い結膜反応性が認められた。 昨年分離した主要抗原と併せて、このアレルゲンはダニ汚染検出システムの開発だけでなく、ダニ喘息の減感作治療法の開発、エピト-プ構造の解析、及び修飾・加工による治療用抗原分子の設計に大きく寄与するものと期待される(広島大学及び県立広島病院グル-プ)。 2.ダニアレルゲンの遺伝子工学的生産 ダニ虫体中mRNAのcDNAを組み込んだ組換えファ-ジ60万pfuから、ダニ抗原cDNAをコ-ドする組換え体を59クロ-ン分離した。このうちの9クロ-ンを、大腸菌に感染させ、その培養上清中に融合蛋白としてダニ抗原が発現していることをELISA及びSDSーPAGE法で確認した。このうちのミニライゼ-ト法により1150bpと推定される挿入cDNAの制限酵素切断地図を作成し、ジデオキシ法により全塩基配列を解析中である。更に、これらを異種遺伝子高発現ベクタ-に組み込み大腸菌に導入し、各種ダニ抗原の大量生産も可能な見通しとなってきた(広島大学及びフマキラ-グル-プ)。
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