研究課題
水資源開発公団三重用水河内谷川渓流取水工は、昭和61年6月完成した、バ-スクリ-ン後方取水型渓流取水工実施事例初期のものであって、竣工以来試験取水を続け、平成元年8月から本取水を開始している。低水時、全量取水状態を継続すると、流況によっては水クッション内に堆砂を見ることがあるが、バ-スクリ-ン下端部は、バ-スクリ-ン斜面流下水脈によって掃流され、取水に支障を来たすようになったことはない。また、石礫、枝葉の目詰まりによる取水障害も起こっていない。洪水時には長径1m以上の巨石が流下することもあるが、水クッション内に堆積残留したこともなく、バ-スクリ-ンの摩耗、損壌も起こっていない。本取水工開始直後、平成元年8月27日、台風19号による洪水によって、隣接渓流員弁川に設置している、バ-スクリ-ン下方取水型渓流取水工は、枝葉、石礫によって全面的に目詰まりが起こり、取水不能になったが、河内谷川バ-スクリ-ン後方取水型渓流取水工は、洪水中、洪水後も、設定した計画取水量を維持しながら、安定した取水を持続している。同型の渓流取水工は、渓流河川地形、取水目的、取水量に応じて段落斜面高さ、バ-取付け角、水クッション等の水理諸元を決定することによって、落差0.3〜5.0m、単位幅当り取水量0.03〜1.1m^3/sに対して、汎用性のある渓流取水工として、実施事例が多くなっている。水理模型実験により、バ-スクリ-ン下方取水型渓流取水工を改造した、バ-スクリ-ン複合型渓流取水工、チッソ固定堰越流水側方取水型渓流取水工越流斜面にバ-スクリ-ンを取付けた取付工は、バ-スクリ-ン後方取水型渓流取水工の汎用化を考えたものである。低落差で、単位幅当り取水量の大きい、バ-スクリ-ン複合型渓流取水工は、三重用水三滝川渓流取水工、台湾南投水利会関刀渓渓流取水工の設計に応用されている。
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